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<title>歌田明弘の『地球村の事件簿』</title>
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<description>週刊アスキー「仮想報道」ウェブログ版。ウェブログというより、さしあたり原稿アーカイヴです（詳しくは「プロフィール」参照）。編集部との話し合いで、週刊アスキーの原稿は発売後、次の金曜日以降に公開することになっています。つまり、実際に書いたのは公開日の2週間ほど前です。
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<item rdf:about="http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/05/post_cf1e.html">
<title>ネット企業の名誉毀損対策――ミクシィと「はてな」</title>
<link>http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/05/post_cf1e.html</link>
<description>ネット企業は、情報を削除すれば発信者に訴えられ、削除しなくても、名誉毀損などで被害者に訴えられる。板挟みの状態だが、どう対応しているのだろうか。 ●板挟みのネット企業 　新聞は、一般に表現の自由の問題...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;ネット企業は、情報を削除すれば発信者に訴えられ、&lt;br /&gt;削除しなくても、名誉毀損などで被害者に訴えられる。&lt;br /&gt;板挟みの状態だが、どう対応しているのだろうか。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●板挟みのネット企業&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　新聞は、一般に表現の自由の問題には敏感に反応するが、ゴシップやスキャンダルを書きたてる週刊誌や夕刊紙の名誉毀損訴訟には冷たいことも多い。&lt;br /&gt;　ゴシップやスキャンダルは、読むほうはもともと話半分ぐらいのつもりで読んでいる。そうした記事が裁判で事実ではないということになっても、週刊誌や夕刊紙の致命的なダメージにはなりにくい。&lt;br /&gt;　その一方、信頼度が高いと思われているメディアほど、裁判で負ければ、賠償額以上のデメリットになる。だから日刊紙などは、名誉毀損訴訟を頻発させるメディアに冷たい。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　いずれにしても、あやふやなことを書かなければいいだけではないかと思うかもしれないが、&lt;a href=&quot;http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/04/post_d52a.html&quot;&gt;前回&lt;/a&gt;書いたように、名誉毀損になるかどうかは、裁判官の感性ひとつにかかっているところもある。&lt;br /&gt;　マスメディアの報道では、独自取材をした記事が訴訟のリスクにさらされるのに対し、警察発表などに頼っていれば心配はない。裁判結果がどっちに転ぶかわからないとなれば、リスクのある報道はためらいがちになる。&lt;br /&gt;　メディアの安易な報道姿勢が批判されるが、法律も裁判所の判決も、調査報道の衰退と公式発表頼りの報道を促している。司法のあり方はメディア状況を方向づけてしまう。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ＣＧＭ（消費者が作るメディア）を運営しているネット企業もまた、名誉毀損などの問題について板挟みの状態にある。&lt;br /&gt;　権利を侵害する情報を放置した場合、被害者から賠償請求される可能性がある一方で、勝手に情報を削除すれば、発信者から賠償請求される恐れもある。&lt;br /&gt;　02年に施行されたプロバイダー責任制限法と通称される法律は、プロバイダーの板挟み状態を解消しようとして作られた。プロバイダーの賠償責任と発信者情報の開示の要件を定めている。&lt;br /&gt;　この法律によって、プロバイダーやＢＢＳの運営者などは、他人の権利が侵害されていると信じるにたりる理由があるか、削除の申し出があったことを情報発信者に連絡して７日以内に反論がないときには情報を削除できることになった。また、他人の権利が侵害されていることを知りながら放置したのでなければ責任を問われなくもなった。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　しかし、捜査権があるわけではないから、他人の権利が侵害されているかどうかを調べるのは難しい。&lt;br /&gt;　この法律については、総務省による「逐条解説」に加えて関連団体による「ガイドライン」まで作られているが、曖昧な点はやはり曖昧なままで、結局は、裁判所の判断しだいである。&lt;br /&gt;　プロバイダ責任制限法は、明確な規範を示しているというよりも、「とりあえずこのへんがまあ常識的な線ではないですか」といった感じの法律になっている。&lt;/p&gt;

&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;&lt;strong&gt;●ミクシィの規約&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　困りながらも各プロバイダーは、この法律よりもう一歩踏みこんだ規約を作っている。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ミクシィは、利用規約の14条で、「弊社もしくは他者の財産、プライバシーもしくは肖像権を侵害する行為または侵害する恐れのある行為」について、「強制退会、利用停止、日記等の情報の全部もしくは一部の削除、または公開範囲の変更等の不利益な措置を採ることがあります」と書き、さらに20条では、「弊社の削除権限」として、&lt;/p&gt;&lt;blockquote dir=&quot;ltr&quot;&gt;&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;(1) 人の裸体を撮影・描写した日記等の情報が投稿されたとき。&lt;br /&gt;(2) 公的な機関または専門家から、違法、公序良俗違反または他人の権利を侵害するなどの指摘や意見表明があったとき。&lt;br /&gt;(3) 権利者と称する者から、日記等の情報が自分の権利を侵害する旨の申告があったとき。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&lt;p&gt;　これらの場合は、&lt;/p&gt;&lt;blockquote dir=&quot;ltr&quot;&gt;&lt;p&gt;「日記等の情報の違法性・規約違反の有無に関わらず、関連する日記等の情報について、その全部もしくは一部の削除または公開範囲の変更などの不利益な措置を行なうことができる」&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&lt;p&gt;としている。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　「情報の違法性・規約違反の有無に関わらず」というのだから、かなりあっさり削除できるルールだが、(3)については、&lt;/p&gt;&lt;blockquote dir=&quot;ltr&quot;&gt;&lt;p&gt;「ただし、権利者と称する者から、権利者であることを合理的に判断できる資料を提示され、弊社にて慎重に検討した結果、権利者であると弊社が判断した場合に限る」&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&lt;p&gt;となっているのに対し、(2)の「公的な機関または専門家」には、国や地方の公共団体などのほか弁護士も含まれるという。&lt;br /&gt;　第三者的な判断をしているはずの公共的な団体とは違い、弁護士は削除を求める側の代弁者にすぎない。&lt;br /&gt;　(3)の本人からのクレームには対応が抑制気味なのに、顧問弁護士のいる大手企業などからのクレームには機敏に対処するというのでは、個人の利用者より企業対応を考えていると思われても仕方がないのではないか。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●はてなの情報削除ガイドライン&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　結局、ミクシィは友だち作りのコミニティ・サイトであって、グレイ・ゾーンの表現が飛び交うような場所ではないということなのだろうが、もっと「硬派」な対応を表明しているところもある。&lt;br /&gt;「はてな」は「情報削除ガイドライン」で、「企業その他の法人」に対する名誉毀損について、「原則的に別に定める発信者への照会手続きを経て対処を行なう」とまず書いているが、次のような文章も付け加えている。&lt;/p&gt;&lt;blockquote dir=&quot;ltr&quot;&gt;&lt;p&gt;「企業の営業秘密情報であり、当該企業やその顧客に経済的に多大な損失を被らせる切迫した危険がある場合は、例外的に削除を行なう」。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&lt;p&gt;　法人についてはかなり限定的にしか削除しないというわけだ。それは、この文章の上に書かれている次の３つのことからだろう。&lt;/p&gt;

&lt;ol&gt;&lt;li&gt;法人はほとんどの場合、公的存在である。&lt;/li&gt;

&lt;li&gt;表現行為が公共の利害に関する事実にかかわり、もっぱらかどうかは別としても、それなりに公益を図る目的でなされたと評価できる。&lt;/li&gt;

&lt;li&gt;表現が法人の社会的評価を低下させても、そこで摘示された事実の真偽についてははてなによる判断ができない場合が多い。&lt;/li&gt;&lt;/ol&gt;

&lt;p&gt;　つまり、公的存在である企業に関する表現は、公共性や公益性があり、自分たちでは真偽の判断ができないから限定的にしか削除しないと言っているわけだ。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　もちろん削除しなければ訴えられる可能性がある。&lt;br /&gt;　とくに企業は、個人よりもお金や人員の融通がつき、訴訟を起こしやすい。また、賠償金額も大きくなる可能性が高い。&lt;br /&gt;　そうしたことから、はてなとは逆に、個人からのクレームはなかなか受けつけないが、企業から文句を言われるとあっさり削除してしまうところもある。そうしたなかで、はてなの基準は興味深い。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　はてなはその一方で、&lt;/p&gt;&lt;blockquote dir=&quot;ltr&quot;&gt;&lt;p&gt;「民族・人種差別にあたる情報は原則として削除を行なう」&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&lt;p&gt;とも書いている。&lt;br /&gt;　２ちゃんねるなどのＣＧＭでは民族・人種差別的表現があふれかえっているが、そうした行為には、毅然とした態度をとることを表明しているわけだ。&lt;br /&gt;　欧米ではこうした規定はいかにもありそうだが、日本では珍しいのではないか。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　はてなは本社を京都に戻したが、海外進出の夢は持ち続けているようだ。世界企業になるためには、たしかにこうしたルールは必要なのだろう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;afterword&lt;br /&gt;&lt;/strong&gt;　何気なく読んでしまうことの多い利用規約だが、読み比べてみると、微妙ながらも、けっこう大きな違いがあっておもしろい。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;関連サイト&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;●『mixi』利用規約（&lt;a href=&quot;http://mixi.jp/rules.pl&quot;&gt;http://mixi.jp/rules.pl&lt;/a&gt;）。mixiの利用規約は、最近、著作権の扱いの変更で物議をかもしたが、上に書いたように、第三者である公共団体とまったく同じ位置づけで、当事者の代理人である弁護士からのクレームも、あっさり削除する可能性を表明しているのは首をかしげたくなる。&lt;br /&gt;●『はてな』の利用規約（&lt;a href=&quot;http://www.hatena.ne.jp/rule/&quot;&gt;http://www.hatena.ne.jp/rule/&lt;/a&gt;）。「はてな」は、利用規約のほかに、削除に関して、「情報削除ガイドライン」「はてな情報削除の流れ」「はてな情報削除関連事例」と3つも文書を作成している。削除の問題を重視していることがわかる。&lt;br /&gt;　これらの文書を通してみると、法知識のある人間によって全体にかなり高度な対応がなされていることが感じられる。 &lt;br /&gt;●プロバイダ責任制限法関連情報ウェブサイト（&lt;a href=&quot;http://www.isplaw.jp/&quot;&gt;http://www.isplaw.jp/&lt;/a&gt;）。プロバイダ責任制限法対応事業者協議会が法規や解説、ガイドラインなどを集めて提供している。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;（週刊アスキー「仮想報道」Vol.531）&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>名誉毀損訴訟</dc:subject>

<dc:creator>歌田明弘の「地球村の事件簿」</dc:creator>
<dc:date>2008-05-02T08:58:00+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/04/post_d52a.html">
<title>あっというまに名誉毀損の被告人</title>
<link>http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/04/post_d52a.html</link>
<description>誰もが被害者になりうると同時に加害者にもなりうる。著作権についてはこうした意味で関心が高くなったが、名誉毀損についても、同じようなことが言える。 ●ネットはもちろん、口を開けば起こる名誉毀損...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;誰もが被害者になりうると同時に加害者にもなりうる。&lt;br /&gt;著作権についてはこうした意味で関心が高くなったが、&lt;br /&gt;名誉毀損についても、同じようなことが言える。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●ネットはもちろん、口を開けば起こる名誉毀損&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　ネットでの名誉毀損裁判をきっかけに、名誉毀損に関する資料をあれこれ読んでみた。&lt;br /&gt;　名誉毀損は、いろいろな意味で問題の多い法律だと、何人もの法律関係者が指摘している。&lt;br /&gt;　名誉毀損にたいする賠償額は高額化しているが、被害者は、裁判に勝っても十分に報いられたようには思えない。その一方、メディアの萎縮効果も確実に起こっている。&lt;br /&gt;　発信した情報がほんとうのことであっても名誉毀損にはなる。というよりも、ほんとうであればあるほど、名誉を傷つけた可能性は高い。具体的な損害がなくて、相手の「名誉感情」を傷つけたということでも名誉毀損は成立する。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　学校裏サイトでのいじめが深刻な問題になっているが、こうした中傷も、発言者を特定して訴えれば賠償請求できるケースだろう。解決策がなかなかないと言われているが、片っ端から名誉毀損訴訟が起こされ始めたら、親としては、もはや子どものプライバシーなどといってはいられない。悪質な書きこみであった場合には民事ではすまず、刑事事件になる可能性だってある。子どものケータイ使用の監視に必死になるはずだ。&lt;br /&gt;　いじめられている子どもの親としては、子どもを裁判に巻きこむことにはなるし、訴訟の頻発が望ましいかどうかということはあるが、不当な扱いには断固戦うという姿勢を身につけさせるのも教育といえなくもない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　『名誉毀損裁判』という本の冒頭では、童話「裸の王様」で、「王様は裸だ」と叫んだ子どもが名誉毀損になるかどうかを検討している。王様が裸だということは見ればわかるし、ほんとうのことではあるけれど、王様の社会的地位を下げたことは明らかで、訴えられる可能性があるというわけだ。&lt;br /&gt;　このように、しゃべったことでも名誉毀損は成立する。この本でも、主婦の陰口が名誉毀損になって60万円の支払いが確定したことなどが書かれている。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　まあ、しゃべったことであればその場かぎりと言うことはあるわけだけど、ブログでもMixiでもケータイ・メールでもあとに残る。ネットの検索機能も充実し、訴訟を起こしやすい環境はととのっている。&lt;br /&gt;　訴える側は、それを裁判所に示して、「名誉毀損だ！」と言えばいい。名誉毀損とされる表現はすでにあり、名誉毀損でないことを証明する責任は情報発信者の側にある。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●低俗雑誌なら、名誉毀損にはならない？&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　昭和30年代に出た最高裁判例によって、名誉毀損かどうかは「一般読者の普通の注意と読み方」で判断すべきということになった。この基準の登場によって、笑い話のような判決が出たことが先の本で紹介されている。&lt;br /&gt;　雑誌の裁判で、読者層が「30代から40代のサラリーマンあるいは自家営業者もしくは主婦らであることが認められ、特段に知的水準が高いとはいえないことに鑑みると」名誉毀損になるという判決が出たという。&lt;br /&gt;　この判決に対しては、「読者をバカにしている」と、裁判所を名誉毀損で訴えることもできそうだ。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　またその逆に、ある夕刊紙は、読者がもっぱら通俗的な興味をそそる娯楽記事として読んでいるので社会的評価に響くものではないと主張して認められた。&lt;br /&gt;　もっとも最高裁では、名誉毀損になるかどうかは読者構成によって決まるものではないという判断が出て、「一般読者」というのは個々のメディアの読者ではなくて、広く一般の読者を指す、ということになった。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　とはいえ、前回書いたネットの名誉毀損裁判で東京地裁の判決は、ネットでの個人の情報発信は信頼性が低いものと受けとめられていることや反論できることが名誉毀損にならない理由としてあげていた。そのメディアの「一般の利用者」がどんな人々でどう行動するかは、名誉毀損裁判において依然として重要な要素なのだろう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●裁判官の「あたりはずれ」によって勝ち負けが変わる&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　名誉毀損になるかどうかは、裁判官が、言論の自由についてどう考えているかといったことだけではなくて、裁判官の感覚によるところも大きいらしい。&lt;br /&gt;　裁判官は、表現に慎重な人が多く、静かな生活を好むので、大げさな表現や揶揄（やゆ）を好まない。表現についての裁判官のこうした好みも反映していると、『名誉毀損裁判』には書かれている。&lt;br /&gt;　裁判官の「あたりはずれ」によって勝ち負けが変わるというのは、ほかの裁判でもあることだが、とくに名誉毀損は基準があいまいで、裁判官の裁量による部分が多く、そうしたことがよりいっそう言えるようだ。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　こうした裁判官の判断には、世の中のムードも大きな影響をあたえている。&lt;br /&gt;　世の中が、表現の自由は大事だと思えば、裁判所も名誉毀損の適用に慎重になる。しかし、多くの人にとって、表現の自由より名誉毀損やプライバシーの問題が切実な問題として感じられるならば、そうした方向の判決が出るようになる。&lt;br /&gt;　リベラルなムードが強くなっていた60年代には表現の自由を尊重する判決が出たが、70年代になって反転したそうだ。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　名誉毀損裁判に勝っても賠償額が少ないことが問題視されてきた。&lt;br /&gt;　アメリカでは名誉毀損の違法性の認定には慎重な一方で、悪質ということになれば厳重な制裁と手厚い救済をするが、日本はその逆だという。違法性を比較的簡単に認めるかわりに、救済を限定的にしてバランスをとってきたのだそうだ。&lt;br /&gt;　こうした判断が崩れて賠償金の高額化が進んでいるのが、日本の現状らしい。金額だけ「アメリカ化」しているわけで、これでは情報発信者側の萎縮が起きてしまう。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　名誉毀損については、「現実の悪意の法理」というのがある。&lt;br /&gt;　ウソであることを知っていたり、ウソかどうかを気にかけずに表現が行なわれたことを、訴えた側が証明しなければならないというものだ。日本の通常の名誉毀損裁判と立証責任が逆転する。&lt;br /&gt;　アメリカでは、公務員はもちろん企業などの公的な存在に対する名誉毀損訴訟で認められている。しかし、日本の裁判ではほとんど採用されていない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　名誉毀損というのは、人権にかかわる発想から生まれたように思われているが、じつは、権力側が批判を封じこめるために発達してきたものだ。&lt;br /&gt;　公的な存在への適用は慎重になる必要があるということから、日本の刑法でも、公務員と「公務員の候補者」については特別の規定がある。企業についても、その社会的責任が問われていることだし、右の意味での「悪意」があったかどうかを名誉毀損の判断基準にすべきだろう。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　私人の名誉毀損については、十分な保護や救済が行なわれる必要があると思うが、その一方で、情報発信者の萎縮効果を避けるために、政治結社はもちろん、企業や宗教団体など影響力の大きな公的存在に対してはこうしたルールが必要だ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;afterword&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;名誉毀損対策をしっかりほどこした文章ばかりだと、どれを読んでも何が言いたいのかよくわからずおもしろくない、ということになるのは確かだ。メディアによって基準を少し変えるというのは、実際的な気もする。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;参考図書&lt;br /&gt;&lt;/strong&gt;●&lt;a href=&quot;http://www.amazon.co.jp/gp/product/4582852564?ie=UTF8&amp;amp;tag=bookcafe-22&amp;amp;linkCode=as2&amp;amp;camp=247&amp;amp;creative=1211&amp;amp;creativeASIN=4582852564&quot;&gt;浜辺陽一郎『名誉毀損裁判―言論はどう裁かれるのか』&lt;/a&gt;&lt;img height=&quot;1&quot; src=&quot;http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookcafe-22&amp;amp;l=as2&amp;amp;o=9&amp;amp;a=4582852564&quot; width=&quot;1&quot; border=&quot;0&quot; style=&quot;BORDER-RIGHT: medium none; BORDER-TOP: medium none; MARGIN: 0px; BORDER-LEFT: medium none; BORDER-BOTTOM: medium none&quot; /&gt; (平凡社新書)。「誰もが名誉毀損の加害者になりうる時代！」と帯のコピーに書かれている。この本は、新書で手軽に入手できるし、わかりやすく問題点が語られている。上でとりあげた事例などもおもにこの本のもの。&lt;br /&gt;●&lt;a href=&quot;http://www.amazon.co.jp/gp/product/4335353251?ie=UTF8&amp;amp;tag=bookcafe-22&amp;amp;linkCode=as2&amp;amp;camp=247&amp;amp;creative=1211&amp;amp;creativeASIN=4335353251&quot;&gt;佃克彦『名誉毀損の法律実務』&lt;/a&gt;&lt;img height=&quot;1&quot; src=&quot;http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=bookcafe-22&amp;amp;l=as2&amp;amp;o=9&amp;amp;a=4335353251&quot; width=&quot;1&quot; border=&quot;0&quot; style=&quot;BORDER-RIGHT: medium none; BORDER-TOP: medium none; MARGIN: 0px; BORDER-LEFT: medium none; BORDER-BOTTOM: medium none&quot; /&gt;（弘文堂）。著者の弁護士は、報道被害に遭った人の救済に関心を持って多くの事件に関与してきたが、ここ数年、裁判所の判断が、表現の自由に対する配慮が欠ける傾向があると違和感を持ち、執筆したと書いている。多様な判例が紹介され、主張も説得力がある。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;（週刊アスキー「仮想報道」Vol.530）&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>名誉毀損訴訟</dc:subject>

<dc:creator>歌田明弘の「地球村の事件簿」</dc:creator>
<dc:date>2008-04-25T16:37:03+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/04/post_1c86.html">
<title>マスメディアの衰退を促進する判決？</title>
<link>http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/04/post_1c86.html</link>
<description>マスメディアよりもネットが自由に書ける法的裏付けともいえる法律判断が出た。この判決が確定すれば、基本的なメディア状況が変わるかもしれない。 ●表現の自由とプライバシーの侵害のどちらが気になる？　...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;マスメディアよりもネットが自由に書ける&lt;br /&gt;法的裏付けともいえる法律判断が出た。&lt;br /&gt;この判決が確定すれば、&lt;br /&gt;基本的なメディア状況が変わるかもしれない。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●表現の自由とプライバシーの侵害のどちらが気になる？&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　数年前に、田中真紀子元外相の娘のゴシップが「週刊文春」に出て、同誌の発売差し止め請求が行なわれるという事件があった。&lt;br /&gt;　表現の自由とプライバシーのどちらを重視するか新聞などでも意見が分かれたが、そのとき３００人ぐらいの学生に、どう考えるか聞いてみた。&lt;br /&gt;　すると、圧倒的にプライバシー重視派が多かった。&lt;br /&gt;　ある男子学生が、「だって、自分のプライバシー、暴かれたらイヤだもんな」とぼそっと口にしていたが、この言葉がその理由を端的に示している。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　日本ではたいていの人は「表現の自由が脅かされる」という危機感が体験上あまりない。&lt;br /&gt;　しかし、報道被害やプライバシーの侵害については、実際の被害のあるなしにかかわらず、さまざまな事件を通じてかなりリアルに感じられる。&lt;br /&gt;　その結果、表現の自由を重視するのか、それとも名誉毀損やプライバシーの侵害を心配するのかと言われれば、後者のほうをとる人が多くなる。&lt;br /&gt;　田中元外相の娘の場合、週刊誌側は、将来、政治家になる可能性もあり準公人だと主張したが、そうした見方に賛同する学生は少なく、支持されにくかった。&lt;br /&gt;　問題によりけりということはあるだろうが、少々極端に言えば、表現の自由について騒いでいるのはマスコミ関係者だけ、という雰囲気になっていることはけっこうあるように思う。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　　&lt;a href=&quot;http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/04/post_0909.html&quot;&gt;前回とりあげた&lt;/a&gt;「平和神軍観察会」というサイトがラーメン店チェーンを中傷したということで刑事裁判にまでなっている事件は、とりあえずはネットを舞台にしていることではあるが、構造的には、マスメディアで起こっていることと変わりはない。&lt;br /&gt;　媒体がネットでもマスメディアでも、名誉毀損で訴えられると、訴えられた側は、主張の正しさを信じていたとしても困ったことになる。&lt;br /&gt;　たいていの裁判では、訴えた側が、相手の過ちを証明しなければならないのに対して、名誉毀損では、名誉毀損とされる表現はすでにある。名誉毀損ではないということは、訴えられた側が証明しなければならない。真実であるか、真実だと信じるにたるきちんとした理由を示す必要に迫られる。&lt;br /&gt;　相手に関する事実を証明するのは、自分のことについて証明するよりはるかにむずかしい。その告発が社会的に意味があったとしても、告発した人間が負けてしまう仕組みになっている。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ネットの名誉毀損訴訟はよくあるし、マスメディアに対しても高額の賠償請求訴訟が起こっている。ほんとうに被害をこうむった人には（少しは）救いになると同時に、メディアの批判を黙らせたい勢力にとっても、都合がいい世の中になりつつある。&lt;br /&gt;　司法制度改革で弁護士の数が増加すれば、お金に困った弁護士が、「この記事は訴えてお金を取れますよ」と“名誉毀損を作る”ようなことも出てくるだろう。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;&lt;strong&gt;●冷たいマスコミの反応&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ネットでもマスメディアでも、それぞれの情報発信の評価は低く見られる傾向にある。&lt;br /&gt;　ネットでは、「だからマスコミは困ったものだ」というムードが蔓延しているし、一方、ネットの外の世界では、ネットは根拠なく人をおとしめる「ゴミための落書き」だと思われている。&lt;br /&gt;　どちらの媒体を使ったとしても、告発者に温かい環境にはなっていない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　報道内容が問われて刑事事件に発展したりすれば、マスメディアでは大騒ぎになる。&lt;br /&gt;　しかし、「平和神軍観察会」をめぐる事件については、不思議なぐらいにそうしたマスメディアの反応が見あたらない。&lt;br /&gt;　こうした事件で異例の刑事事件として検察が立件したのは「見せしめ」的な意図もあったと思われるが、そうしたことに反応したマスメディアもない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　この事件を「表現の自由」の問題としてマスメディアがなぜ見ないのかについて、実際のところもうひとつよくわからないのだが、ネットでの誹謗中傷をかねてから深刻な問題として見ていたということはあるだろう。さらに、少々うがった見方をすれば、この裁判で示された判断が定着してしまうと、これから書くように、マスメディアにとっていよいよ困った状況が生まれるということも、多少は関係しているのかもしれない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　前回書いたように、この事件に無罪判決が出たのは、マスコミと個人では違い、またネットでは対等に反論できるし、個人の情報発信は信頼性が低いと受けとめられているということからだった。 ネットのほうが名誉毀損にはなりにくくなる基準を打ち出した。&lt;br /&gt;　そうしないと、ネットでの自由な情報発信を縛ってしまうというわけで、この事件に関しては、マスコミよりも、裁判官のほうがネットの「表現の自由」の問題を気にしている。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●ネットのほうが自由に書ける？&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　検察側が控訴したのでまだどうなるかはわからないが、もし上級審でも地裁の判断が認められれば、きわめて興味深いメディア状況が生まれることになる。&lt;br /&gt;　通常は、マスメディアのほうが突っこんだ取材ができ、記事もそれに見あったものができると思われている。しかし、実際は高額賠償訴訟なども続いており、記事にしにくいことは増えてきている。ネットのほうがはるかに自由に書けるということはすでに起こっているが、法律的にも裏付けができることになる。&lt;br /&gt;　誹謗中傷がネットでこれ以上増えるのは困るが、その一方、伝えるべき必要があってもマスメディアで書けないことについては、法的にもネットのほうが書きやすくなり、ネットをそういうぐあいに使うケースはいよいよ増えるだろう。この判決によって、「ディープな話はネットのほうがよくわかる」という状況が促進される可能性があるわけで、オールド・メディアの衰退とネットへの移行を勢いづけるエポック・メーキングな判決ということになるかもしれない。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●信頼性が低くても影響力はあるネット&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　とはいえ、判決の言うように、「ネットの個人の情報発信は、信頼性が低いと受けとめられている」としても、影響力がないとは一概に言えない。&lt;br /&gt;　多くの人に一挙に到達する影響力という意味では、たしかに現状ではたいていの場合、マスメディアのほうが上だ。けれども、テレビや新聞で言っていることよりも、いつもアクセスしてその考えに親しんでいるネットの個人の情報発信のほうが心に響くということはある。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　その象徴的な例がケータイ小説だ。&lt;br /&gt;　大作家やベストセラー作家の小説もケータイで読めるのに、人気を呼んだのは、読み手に近いシロウト作家の作品だ。&lt;br /&gt;　どちらが影響力があるかについて、従来とは違うことが起こっている。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　このように、どちらが影響力があるか一概にいえないと裁判官が思いだしたら、こんどのような判決は出ない。ネットの評価が上がったことにはなるが、その場合はやはり、マスメディアとネットは同じ立場に立たされることになる。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;afterword&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　名誉毀損をめぐる法律そのものにじつは問題があるのだが、上に書いた事件に関連してそうしたことを指摘した記事はどこもなかった。&lt;br /&gt;　「誰もが情報発信者」の時代に、著作権と並んできわめて重要な、そうした法律問題について次回はとりあげる。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;関連サイト&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;●朝日新聞の記事（&lt;a href=&quot;http://www.asahi.com/digital/internet/TKY200802290352.html?ref=goo&quot;&gt;http://www.asahi.com/digital/internet/TKY200802290352.html?ref=goo&lt;/a&gt;）&lt;br /&gt;●読売新聞の記事（&lt;a href=&quot;http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20080303nt03.htm&quot;&gt;http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20080303nt03.htm&lt;/a&gt;）&lt;br /&gt;●毎日新聞の記事（&lt;a href=&quot;http://mainichi.jp/select/today/news/20080301k0000m040062000c.html&quot;&gt;http://mainichi.jp/select/today/news/20080301k0000m040062000c.html&lt;/a&gt;）。&lt;br /&gt;　時間が経って読めなくなっている新聞社サイトの記事もあるが、これらの記事はまだ読める。しかし、不思議なことに、最初に公開したときと記事のURLが変わっている。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>名誉毀損訴訟</dc:subject>

<dc:creator>歌田明弘の「地球村の事件簿」</dc:creator>
<dc:date>2008-04-18T09:28:00+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/04/post_0909.html">
<title>「個人の情報発信はマスメディアとは違う」のか？</title>
<link>http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/04/post_0909.html</link>
<description>ネットが広がると同時に始まったともいえるタイトルのような問いに、法的な指針がひとつ出された。「誰もが情報発信者」の時代ならではの興味深い判決だ。 ●「困りもののマスコミ」　...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;ネットが広がると同時に始まったともいえるタイトルのような問いに、&lt;br /&gt;法的な指針がひとつ出された。&lt;br /&gt;「誰もが情報発信者」の時代ならではの興味深い判決だ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●「困りもののマスコミ」&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;/p&gt;&lt;p&gt;「マスコミには困ったものだ」というのは、ネットではことのほか盛り上がるテーマだ。&lt;br /&gt;　私もこの欄でそういう調子で書いたことは何度かあるが、このところできるだけそんなふうには書かないようにしている。&lt;br /&gt;　雑誌で原稿を書いている私が「マスコミの人間」ということになるのかどうかはよくわからない。ひとりで原稿を書いているので、自分ではそういう意識はない。&lt;br /&gt;　新聞などのオーソドックスなメディア組織の人々には、「あいつはマスコミの人間ではない」と思われ、一方ネットでは、「あいつはマスコミの人間だ」とコウモリのような存在になっているのかもしれない。しかし、そもそも雑誌というのは、客観性を重視する大手マスコミと個人の情報発信のあいだのような存在だろう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　他人がどう見ているのかはともかく、自分としてはマスコミと違った視点で書いているつもりなので、マスコミのやっていることには批判の目も向けてきた。&lt;br /&gt;　けれども、「マスコミには困ったものだ」というムードがあまり強くなってくると、はたしてそれでいいのかという気になってくる。深刻な報道被害もあるので問題があることは確かだが、ただ、やみくもに不信感が高まると、結局のところ困るのはわれわれではないだろうか。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　マスコミ批判のかなりの部分には、「高給を取っているマスコミ」に対するやっかみみたいなところがある。たしかに高給のマスコミ人も少なくはないが、ほかの業種同様みんなが高給というわけでもない。&lt;br /&gt;　それに実際のところ、ある程度お金の余裕があるから「清く正しく」をやっていられるといったところもあるわけで、金銭的に行き詰まってくれば、「困りもののマスコミ」と言われるようなことは増えていくにちがいない。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　さらに、「マスコミは」と一括りで書く気になれなくなってきたのには、新聞社だとかテレビ局だとか、いわゆるマスコミらしいマスコミの人の考えを直接聞く機会も増えてきたからだ。&lt;br /&gt;　外部から見れば、彼らの情報発信はすべて「マスコミの仕事」ということになるけれど、当然ながら、それらの情報発信のもとをたどれば個人の仕事で、何か問題が起これば個人の責任も問われる。そういう意味では個人の情報発信と同じだ。&lt;br /&gt;　ネットの個人の情報発信が他人ごとではないのと同様、メディア組織の人々の悩みも理解できる。&lt;br /&gt;　組織のなかにいる場合には組織が守ってくれるということはあるが、まったく逆に、組織や周囲の人間が対立的な存在になって、ひとりで自由に情報発信していたほうがいいということだってある。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●なぜか異例の刑事事件として立件された名誉毀損訴訟&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　「マスコミと個人の情報発信は違う」というのが、マスコミ批判の根拠になっているわけだけど、そう言いきれるのかどうかという事件が起こっている。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ラーメン店チェーンを展開するグロービートジャパンをネットで中傷し名誉を毀損したということで、サイト運営者が起訴された事件が進行している。被告になったサイト運営者側は、情報発信内容について非を認めず、真実性を争っている。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　ネットでの情報発信をめぐって民事での名誉毀損の裁判はしばしばあるが、刑事事件になっているという意味で、この裁判は特異なものだ。&lt;br /&gt;　名誉毀損は親告罪なので、告訴によって裁判になるわけだけど、民事とは違い、相手は検事だ。つまり国（の組織の人間）との争いである。２月末に、東京地裁で無罪判決が出たが、検察側は控訴した。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　　グロービートジャパンをめぐっては、ネットでそうとう激しいやりとりがかなり長い間にわたってあった。その痕跡はネットのいたるところに残っている。ウィキペディアなど、この会社をめぐる争いを詳しく書いたサイトやプロバイダーは削除を求められたりもしていて、不用意に書けば、この事件のように告訴される可能性もある。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　名誉毀損をめぐる裁判では、書いたことが真実かどうか、あるいは真実と信じるに相当するだけの理由があるかどうかの立証責任は書いた側にある。当たり前のようだが、表現の自由を重視するアメリカなどでは、少なくとも公的存在については逆で、悪意や過失によって名誉毀損があったことを訴えた側が証明しなければならない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　日本では名誉毀損で訴えられれば、訴えられたほうが負ける可能性が高いし、少なくとも民事ならば、書面をととのえ、必要な費用を負担すれば、高額の賠償請求だって起こせる。メディアの場合は情報源の秘匿もしなければならず、訴えられた側が敗訴しやすい構造になっている。&lt;/p&gt;

&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;&lt;strong&gt;●「ネットとマスコミは違う」は通用するか？&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　情報発信の内容が名誉毀損に問われるかどうかについては微妙なことも多い。&lt;br /&gt;　この事件が刑事事件として立件されたのには、検察側の何か特別な思惑があったとしか思えないが、ともかく、「マスコミに困ったものだ」とネットも含めて世間の声が強くなっているうちに、いつのまにかネットの情報発信についてもマスコミと同じく名誉毀損だと訴えられ、国の組織に属する検事と争わなければならない事態になっている。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ただ、ひとまず出た東京地裁の判決は、「ネットとマスコミは違う」というこれまた異例の判決だった。&lt;br /&gt;　これまでは、公共の利害に関係し公益目的があり、真実性があるか真実と信じる相当な理由がなければ名誉毀損に問われていた。しかし、これはマスコミについての基準で、個人にはもう少し緩い基準が適用されるべきだというかつてない判断を裁判所は示した。その理由として、裁判所はおもに次の２つのネットの特性をあげている。&lt;/p&gt;

&lt;ol&gt;&lt;li&gt;&lt;div&gt;マスコミと個人では異なり、ネットでは対等に反論できる。&lt;/div&gt;&lt;/li&gt;

&lt;li&gt;&lt;div&gt;ネットでの個人の情報発信の信頼性は低いと受け止められている。&lt;/div&gt;&lt;/li&gt;&lt;/ol&gt;

&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;　ネットの情報発信の信頼性が低いということで出た判決は、はたしてネットにとって喜ぶべきものなのか、という疑問の声も上がっているが、ひとまずネットとマスコミでは違うということになった。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　しかし、これは勝訴を勝ち取った弁護士が感激するぐらいに異例の判決だ。被告側の紀藤正樹主任弁護人は、そのサイトで次のように書いている。&lt;/p&gt;&lt;blockquote dir=&quot;ltr&quot;&gt;&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;「従来の名誉毀損基準では、市民の批判的表現は、ことごとく名誉毀損となりかねません。それでは表現の自由は死滅してしまいます。判決は、この市民の置かれた現状に真摯に向き合い、そして表現の自由の重要性に理解を示したもので、画期的な判決です」。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;　起訴されれば99・９パーセント有罪になる刑事事件では、無罪判決自体がそもそも珍しいわけだけど、無罪判決の根拠となる基準は今回初めて出たものだ。検察側は控訴しており、先行きはまだわからない。&lt;br /&gt;　「ネットとマスコミは違う」のか、そして信頼性が低くて、影響がないからネットはマスコミより自由に書けるのか。こうしたことは次回もう少し考えてみたい。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;afterword&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　本文で書いた判決は、現在制定がめざされている「情報通信法」の発想と重なっている。社会的影響力の大きさによって規制のあり方を変えようというもので、一足早く、こうした発想を取り入れた判決なのかもしれない。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;関連サイト&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;●裁判を傍聴した人々のブログにリンクを張って「淡々と記録」している「平和神軍観察会vsグロービートジャパンの裁判記録」（&lt;a href=&quot;http://d.hatena.ne.jp/globeat_saiban/&quot;&gt;http://d.hatena.ne.jp/globeat_saiban/&lt;/a&gt;）。裁判のようすは、いくつものブログが報告している。&lt;br /&gt;●被告側の主任弁護人・紀藤正樹弁護士のサイト（&lt;a href=&quot;http://kito.cocolog-nifty.com/topnews/2008/02/post_d3c4.html&quot;&gt;http://kito.cocolog-nifty.com/topnews/2008/02/post_d3c4.html&lt;/a&gt;）。無罪判決について、「主任弁護人として携わってきたので感慨無量」としながらも、「判決が、従来基準での真実性と相当性を認めなかった点はとても残念」とのことで、控訴審では、その点も争われるのだろう。&lt;br /&gt;●名誉毀損で訴えられた平和神軍観察会のサイト（&lt;a href=&quot;http://es.geocities.com/dempauyo/&quot;&gt;http://es.geocities.com/dempauyo/&lt;/a&gt;）。被告側だけでなく、グロービートジャパン側の意見を聞きたいところだけれど見あたらない。ネットでは反論できるというのが無罪判決の根拠のひとつなのだが‥‥。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>名誉毀損訴訟</dc:subject>

<dc:creator>歌田明弘の「地球村の事件簿」</dc:creator>
<dc:date>2008-04-11T21:12:37+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/04/post_56e4.html">
<title>世界最大の企業と監視団体の不思議な関係</title>
<link>http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/04/post_56e4.html</link>
<description>西友を完全子会社化し、日本で最終戦争に臨んでいる世界最大の企業には、厳しい目が向けられているが、監視団体はそうした企業をなま暖かく見守っている。 ●厳しい目を向けられるウォルマート　...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;西友を完全子会社化し、&lt;br /&gt;日本で最終戦争に臨んでいる世界最大の企業には、&lt;br /&gt;厳しい目が向けられているが、&lt;br /&gt;監視団体はそうした企業をなま暖かく見守っている。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●厳しい目を向けられるウォルマート&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　アメリカ最大の小売りで世界最大の企業であるウォルマートの巨大さは並大抵のものではない。&lt;br /&gt;　06年度の売り上げは３４５０億ドル、06年あたりのレートで日本円にすると約40兆円。&lt;br /&gt;　ギリシアとかオーストリア、ポーランドの06年のＧＤＰより多く、世界25位のＧＤＰに相当する。&lt;br /&gt;　企業の経済規模というより、もはやかなり大きな国家のレベルだ。&lt;br /&gt;　毎週１億７６００万人が、日本の西友も含めた世界14か国のウォルマート帝国傘下の店舗で買い物をしている。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　これだけ大きいから、その影響力も尋常ではない。&lt;br /&gt;　進出した地域の小売りに甚大なダメージをあたえることもあるし、雇用動向も左右する。そうしたことが広く知られるにつれ、進出先では反対運動も起こる。また、コストダウンをはかるために劣悪な労働環境になっていると疑惑の目も向けられる。&lt;br /&gt;　こうなってくれば、経営にも悪い影響が出てくるのは避けられない。ドイツでは、ウォルマートの低価格販売は健全な競争を阻害するとの判決が出て、撤退するに到っている。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　こうした逆風をうけてウォルマートは、イメージアップを図ろうと躍起になっている。&lt;br /&gt;　昨年９月には、19年間にわたって掲げてきて広く浸透もした「いつも低価格」のスローガンを、「お金を倹約してよりよい生活をおくろう（Save money. Live better.）」に変えた。安いだけでは満足できなくなってきた消費者の好みの変化にあわせたというわけだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ウォルマートは一昨年、ＰＲ会社のエデルマンを使って、やらせブログをやったということで猛反発を受けた。&lt;br /&gt;　ウォルマートの駐車場で休みながらキャンピングカーでアメリカを横断するカップルが、店員との暖かい交流をブログでつづった。じつは悪評に反撃するためのウォルマートの広報戦略の一環で、エデルマンの依頼を受けたプロのカメラマンのしわざだったことがわかり、激しいバッシングにあった。&lt;br /&gt;　「やらせブログ」であったこともさることながら、ただでさえ反発を買っているウォルマートがらみの話だったことも、反発に輪をかけたにちがいない。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●次々と立ち上がった監視サイト&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　このブログ事件が起こる前年から、ウォルマート監視グループが、労働組合や環境団体などの資金援助を受けて次々とサイトを立ち上げている。ウォルマートにおける従業員の待遇や、地域経済への影響、環境に対する配慮などに厳しい目を向け、ウォルマートに対して圧力をかけていた。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　これらの監視団体の発想で興味深いのは、ウォルマートは図体が大きいぶんだけ悪影響も大きいが、そのわずかの態度の変化によって世の中をよくすることもできると考えている点だ。&lt;br /&gt;　ウォルマートは、メーカーや納入業者に、よくも悪くも圧力をかけることができる。たとえば、ウォルマートが納入業者に対して、これこれの環境基準を守っている会社、あるいは従業員にこれこれの条件を保証した会社でないと商品を受けつけないといったルールを作れば、ウォルマートに納入したいメーカーや生産者などはそれを守らざるをえない。国や地方自治体の規則がどうあれ、それよりレベルの高い環境や労働についての基準ができあがる。&lt;/p&gt;

&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;&lt;strong&gt;●監視団体は対立関係にありながら貢献もしている？&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　こうしたカラクリを、ウォルマート監視団体ははっきりと意識して行動している。&lt;br /&gt;　たとえば、ウォルマート・ウォッチという団体は、「05年の春、世界最大の小売りであるウォルマートを善良な雇用者にして隣人、企業市民にするために全国レベルでの公共的な教育キャンペーンを始めた」とのことで、その使命についてこう述べている。&lt;/p&gt;&lt;blockquote dir=&quot;ltr&quot;&gt;&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;　「われわれは現在までに、そのビジネスの実践にさいして、ウォルマートが幅広い問題に配慮するよう仕向けることに驚くほどの成功をおさめた。ウォルマートは、従業員の健康を守らず、納税者が支えている公共サービスに頼らざるをえなくさせていることを認めた。また、もっと環境にやさしいビジネスへ向かう長い道程の将来有望な最初の一歩を踏み出した。われわれは、ウォルマートが変化の必要性を認めた以上、真摯な態度をとることを望み、またわれわれも引き続きウォルマートを前進させていく」。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;　　一定の成果が出ていることを、誇らしげに謳い上げこう述べる。&lt;/p&gt;&lt;blockquote dir=&quot;ltr&quot;&gt;&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;「ウォルマートは、その大きさや影響力、何百万の労働者の暮らしや何十億の消費者の求めに対する責任ということから、われわれの世界で独特の地位を占めている。このような圧倒的な影響力によって、ウォルマートには一定の道徳的な責任が生まれている」。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;　ウォルマートと対立関係にあると同時に、ウォルマートをよりよい企業にしていこうとしているという意味では、これらの団体は、ウォルマートと利害をともにしているともいえる。とりあえずは対立関係にあるはずだけど、単純につぶれてしまえばいいと思っているわけではないのだ。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　ウォルマートとしても、企業として追い求める利益を手に入れるためには、経済から環境の問題にいたるまで地域や共同体に幅広い貢献をし、評判をよくしなければならない。&lt;br /&gt;　ほかの企業との競争もあるので、ウォルマートとしてもできることに限界はあるだろうが、圧倒的なナンバーワン企業だからこそできることがあるはず、というのが監視団体の立場なわけだ。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ウォルマートのほうも、こうしたサイトに対抗して、「ウォルマート・ファクツ・コム」というサイトを立ち上げている。&lt;br /&gt;　ウォルマートの安売りのおかげで、06年にはひとりあたり９５７ドル、一世帯あたりにすると２５００ドル（日本円で約29万円）が節約できたという。さらにウォルマートの従業員の92パーセントは何らかの医療保険に入っていて、50パーセントは会社の保険に入っているだとか、フルタイムの従業員は時給10・83ドルで地域の平均より高く、07年には１２８億ドルの税金を払い、２億４５００万ドル以上の寄付をしているという。そして、慈善事業関係の新聞で、アメリカ最大の寄付をしている企業と認められているとも反駁している。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●資本主義経済が自律的に健全な社会を生んでいく？&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　監視組織がきちんと機能し、圧力が強く働けば、労働条件にしても環境問題にしても、国の定めた基準以上のルールが広がっていく。そうなれば、国の規制は、いい意味で形骸化していく。つまり、国の存在を不要にしないまでも、その仕事をどんどん軽くしていくことさえ可能かもしれない。&lt;br /&gt;　もちろん、こうしたことを言うのは、まだあまりに先走りすぎだろう。しかし、ウォルマートを監視している団体が発足から２年しか経っていない段階で、「驚くほどの成果をおさめた」と高々とサイトで宣言しているのを見ると、少しばかりの希望も感じられる。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;afterword&lt;br /&gt;&lt;/strong&gt;　ウォルマートをめぐる批判派とのやりとりは、いまや情報戦の様相を呈してきた。ウォルマートも、ブログを使ってみたり、高級誌に派手な広告を出したりと、さまざまな戦略を試している。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;●ウォルマート監視サイト『ウェイクアップ・ウォルマート』（&lt;a href=&quot;http://www.wakeupwalmart.com/&quot;&gt;http://www.wakeupwalmart.com/&lt;/a&gt;）と『ウォルマート・ウォッチ』（&lt;a href=&quot;http://walmartwatch.com/&quot;&gt;http://walmartwatch.com/&lt;/a&gt;）。前者は食品関係、後者は医療を中心としたいずれも大きな労働組合がバックにいる。&lt;br /&gt;●米ウィキペディアにも、Criticism of Walmartというウォルマート批判の動きだけをまとめたかなり長文の項目ができている（&lt;a href=&quot;http://en.wikipedia.org/wiki/Criticism_of_Walmart&quot;&gt;http://en.wikipedia.org/wiki/Criticism_of_Walmart&lt;/a&gt;）。&lt;br /&gt;●高まるウォルマート批判の声に抗して、ウォルマートも情報発信している。これはウォルマートが、いかに環境や福祉、地域経済に気を配っているかを広報しているサイト『ウォルマート・ファクツ・コム』（&lt;a href=&quot;http://www.walmartfacts.com/&quot;&gt;http://www.walmartfacts.com/&lt;/a&gt;）。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;（週刊アスキー「仮想報道」Vol.527）&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>インターネット（社会）</dc:subject>
<dc:subject>社会</dc:subject>

<dc:creator>歌田明弘の「地球村の事件簿」</dc:creator>
<dc:date>2008-04-04T09:39:00+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/03/post_b9ae.html">
<title>情報技術が超大型スーパーにもたらしたもの</title>
<link>http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/03/post_b9ae.html</link>
<description>日本進出を試み続ける世界最大のスーパーは、情報と移動技術の変化によって苦境に陥った。いかにもありそうなことだが、興味深い成りゆきだ。 ●店員の見つからないショップが珍しくないアメリカ...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;日本進出を試み続ける世界最大のスーパーは、&lt;br /&gt;情報と移動技術の変化によって苦境に陥った。&lt;br /&gt;いかにもありそうなことだが、興味深い成りゆきだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●店員の見つからないショップが珍しくないアメリカ&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　90年代半ば、２年ほどアメリカに住んでいたが、何度か行った近くのデパートには驚かされた。&lt;br /&gt;　ともかく店員がいないのだ。&lt;br /&gt;　アメリカのデパートは日本よりも営業時間が長く、夜などはとくに、買い物をしようと思っても店員が見つからない。フロア中探しまわってもいないのでほかの階まで探しに行き、ついに見つからなくてあきらめて帰ったことも何度かあった。&lt;br /&gt;　それではものが売れるはずがない。&lt;br /&gt;　「何てバカなことをしているのだろう。こんなふうでは、いずれつぶれてしまうんじゃないか」と思っていたが、実際そのデパートは経営が苦しくなってやがて買収されてしまった。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　アメリカ最大の小売りであり、世界最大の企業であるウォルマートが陥った苦境についてあれこれ読んでいたら、なぜ店員がいなかったのか、わかってきた。&lt;br /&gt;　コスト意識の強いアメリカのデパートや大型スーパーなどは、店員を最少でまわそうとする。コストを考えると、客の少ない時間帯に店員を張りつけておくのは不経済だ。&lt;br /&gt;　とはいえ、開店時間は決まっているから、勝手に店を閉めるわけにもいかない。&lt;br /&gt;　その結果、店員をほとんど置かずに店だけ開けておくという奇妙な時間帯がときに（というよりも平日の夜はほとんどいつもだった記憶があるが）生まれるのだろう。&lt;br /&gt;　十分な利益をあげられない時間帯は店員をおかないというのは、コストを考えると理にかなっているのかもしれない。しかし、そんなふうでは客は、店員がまたいないのでは、と思って、そのデパートに行かなくなる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　激しいコストダウンをはかって「いつも低価格（オールウェイズ・ロー・プライス）」を実現してきたウォルマートもまた、こうしたジレンマに陥っているようだ。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　　昨年10月ビジネスウィークは、ウォルマートを抜き打ち調査した記事を載せた。&lt;br /&gt;　「例によって」店員の姿が見えず、試着室に鍵がかかっていて開けてくれる店員もいない。「顧客はたいていたった１人で売り場に残される」。&lt;br /&gt;　90年代にワシントン郊外のデパートで見た光景そっくりのありさまが報告されている。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　毎年３００店の新規出店をして急拡大を続けてきたウォルマートが苦しくなった理由はいくつもあるが、ひとつには、安い賃金でこき使うために従業員の志気が落ちてしまったことにあるようだ。ビジネスウィークの記事では、レジ係が、「従業員を大事にしないのに、どうしてウォルマートのことを心配しなきゃいけないわけ」と居直っている。&lt;br /&gt;　従業員は、会社に忠誠心を抱くどころか敵意さえ感じている。&lt;br /&gt;　これでは、経営がうまくいかなくなっても当然だ。&lt;br /&gt;　清掃係を減らしてしまったためにトイレが汚い店舗もあったりして、顧客満足度も低下しているという。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●ＩＴ技術も世界最大の企業を苦境に追いこんだ&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ウォルマートは、ＩＴ技術を駆使した情報管理システムを導入している。&lt;br /&gt;　本社が一元管理し、商品がなくなると自動発注する仕組みになっている。&lt;br /&gt;　ところが、盗まれた場合には商品がないことが認識されず、欠品が放置される。売り場の人間が気づいても、各店舗には商品発注の権限がないため、そのままになってしまうらしい。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　利益率は低くてもその商品があることで、他の商品が売れるということはよくある。&lt;br /&gt;　しかし、単品の売れ行きだけを管理しているのでは、現場の人間の持つそうしたノウハウは活かされない。商品間の関連まで踏まえた情報システムができないのなら、現場にまかせていたほうがよかった、ということになる。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●ネットもまた世界最大の企業を追いこんだ&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　ウォルマートは、音楽配信に力を入れたり、ネットで注文を受けつけるなど、ネットを積極的に取り入れている。しかし、ネットで逆境も招いている。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　ウォルマートは名の知られたナショナル・ブランドの商品を低価格で売ることで顧客を惹きつけてきた。こうしたことは、高速道路（フリーウェイ）とマスメディアの発達によって可能になったと、昨年10月３日のウォールストリートジャーナルは、スーパーをめぐる文明の推移を感じさせる記事を載せている。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ウォルマートは大型スーパーの強みを活かし、品揃えも豊富である。マスメディアで宣伝し、顧客は低価格に釣られて少々遠くからでもやってきた。&lt;br /&gt;　ところがいまや、ネットを使えば、消費者は、どんなに大型の店舗でもおよばないぐらいに豊富な品揃えの中から自分にあったものを選び、低価格で買うことができる。このような状況が消費者の嗜好を変えてしまい、低価格だけでは満足できなくなっている、というのだ。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　日本でもテレビの視聴率は落ちていて、20パーセントを超えれば週間トップに食いこめる。消費者のメディアとの接触が多様化しており、広く情報を行きわたらせようとすればあちこちに広告を出さざるをえない。&lt;br /&gt;　つまり、ブランドを生み維持するコストが上がっている。&lt;br /&gt;　その一方、ネットの口コミで、ニッチなブランドが誕生し、商品棚を占領してしまう。こうしてナショナル・ブランドに必要な利益が吸い取られている。&lt;br /&gt;　高速道路とマスメディアの時代からネットの時代へ移行することによって、スーパーやメーカーと消費者の関係が一変してしまったというわけだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●嫌われ始めた安売り大型スーパー&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　ウォールストリートジャーナルの記事では、「大型スーパーは広くて混んでいるから行かない」という消費者の声も紹介している。これもよくわかる話だ。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　私の家の近くにも、大きなスーパーと小さなスーパーがある。&lt;br /&gt;　どちらによく行くかというと、小さなスーパーのほうだ。&lt;br /&gt;　店舗がきれいということもあるが、大型スーパーは、広い店内を歩き回らなければ買いたいものにたどりつけない。&lt;br /&gt;　また、大型スーパーは自分で商品を詰めなければならないが、小さなスーパーはレジ袋に入れてくれる。少々高くても、小さなスーパーのほうに足が向く。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ネットでは、大量に買えば無料で届けてくれるサイトがあるし、安く買えるところもある。歩いていって買うときには、大型スーパーではなく、簡単で快適に買い物ができるスーパーを選ぶという発想になりがちだ。&lt;br /&gt;　アメリカでも似たことが起こっているらしい。&lt;br /&gt;　ウォルマートは電化製品にも力をいれており、電器専門店のなかには経営が傾いたところも出た。しかし、購入後の設置までしてくれる電器店チェーンなどは、逆に売り上げを伸ばしているそうだ。&lt;br /&gt;　いくら安くても、重たい電化製品を持って帰って、マニュアルとにらめっこしながら使えるようにするのは面倒だ。少々高くても面倒見のいい店で買う客が少なくはなかったというわけだ。ウォルマートもあわてて設置サービスを始めているという。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　　ネットによって流通の構造が変化しているというが、人々の消費性向そのものも変わっている。大型スーパーがかならずしも順風満帆というわけではなくなってきたというのはおもしろい。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;afterword&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　ウォルマートは、西友を完全子会社化して、日本上陸を成功させようと必至だ。未開拓の客層である富裕層をねらった戦略が失敗し、アメリカではもはや拡大の余地がなくなってきて、海外に希望を託さざるをえなくなっているらしい。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;関連サイト&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;●ウォルマートを抜き打ち調査した昨年10月のビジネスウィークの記事（&lt;a href=&quot;http://www.businessweek.com/bwdaily/dnflash/content/oct2007/db2007101_957507.htm&quot;&gt;http://www.businessweek.com/bwdaily/dnflash/content/oct2007/db2007101_957507.htm&lt;/a&gt;）。●「日経ビジネス」のサイトにも、写真はないが、翻訳が載っている（&lt;a href=&quot;http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071009/137090/&quot;&gt;http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071009/137090/&lt;/a&gt;）。&lt;br /&gt;●ウォールストリートジャーナルの記事（&lt;a href=&quot;http://online.wsj.com/article_email/SB119135657404946747-lMyQjAxMDE3OTAxMzMwNTM2Wj.html&quot;&gt;http://online.wsj.com/article_email/SB119135657404946747-lMyQjAxMDE3OTAxMzMwNTM2Wj.html&lt;/a&gt;）。&lt;br /&gt;●ウォルマートは音楽のネット配信ビジネスにも力を注いでいる（&lt;a href=&quot;http://www.walmart.com/music&quot;&gt;http://www.walmart.com/music&lt;/a&gt;）。パソコンや携帯音楽プレーヤーに何度でも楽曲をコピーでき、アップルの同様のサービスよりも安い。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;（週刊アスキー「仮想報道」Vol.526）&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>インターネット（社会）</dc:subject>
<dc:subject>経済</dc:subject>

<dc:creator>歌田明弘の「地球村の事件簿」</dc:creator>
<dc:date>2008-03-28T09:28:00+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/03/post_e492.html">
<title>低価格を追い求める消費者の声に応えて行き着く先は？</title>
<link>http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/03/post_e492.html</link>
<description>ネットで価格を簡単に比べられるようにもなって、安売り競争は熾烈になる一方だ。安さを求める消費者の欲望が雇用を失わせ、地域経済を破壊しているという。 ●史上最大の企業の裏側...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;ネットで価格を簡単に比べられるようにもなって、&lt;br /&gt;安売り競争は熾烈になる一方だ。安さを求める消費者の&lt;br /&gt;欲望が雇用を失わせ、地域経済を破壊しているという。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●史上最大の企業の裏側&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　消費者とすれば、ものを安く買えればありがたい。同じものを売っている店が２軒あれば、安い値段のほうで買おうとするのは当然だ。消費者としてはきわめて合理的な行動だが、その行き着く先はどこなのか。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　だいぶんまえに買っておきながら時間がなくて手に取れないでいた本を読んだ。『ウォルマートに呑みこまれる世界――「いつも低価格」の裏側で何が起きているのか』で、その本には、こうした疑問に対する答えが、すでに起こっている現実という形で提示されていた。ビジネス書の流通業界のコーナーに置かれていることが多いが、業界の話にとどまらず、いま何が起きているのか、さらにはグローバル経済というものがどういうものかを教えてくれる好著だ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ウォルマートというと、日本では、西友を段階的に子会社化し日本に進出しようとしているもののなかなかうまくいかない会社といったイメージしかないかもしれない。しかし、アメリカの食品市場の20パーセントほどのシェアを占め、アメリカ最大の小売りであるばかりでなく、ここ10年間、&lt;/p&gt;&lt;blockquote dir=&quot;ltr&quot;&gt;&lt;p&gt;「ほとんど常に世界最大の企業であると同時に、史上最大の企業でもあり続けた」。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&lt;p&gt;　石油価格の急上昇で、05年にはエクソンモービルにその地位を譲ったが、06年にはまた逆転してウォルマートが一番になった。&lt;br /&gt;　この本では、エクソンモービルの従業員が９万人であるのに対し、ウォルマートの従業員は１６０万人であることからも、実質的にはその地位は揺らいでいないと書かれているが、そのとおりだろう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●史上最大の企業とのつきあいは「死のスパイラル」&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　スーパーはしばしば特売と銘打ち、期限を限って安売りをする。しかし、価格が変動するのでは、消費者も納入業者も安定した売買はできない。&lt;br /&gt;　ウォルマートは大量に仕入れるかわりに、価格をつねに下げることに成功した。そういう意味では、消費者にとっても納入業者にとってもありがたい存在だが、問題は、「いつも低価格」を維持するための方法である。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　メーカーなどにとって、全米最大の小売りチェーンで大量に売ってくれるウォルマートはかけがえのない存在だ。ウォルマートが「商品をあつかいたい」と言えば、断わる業者はほとんどない。しかし、こうしてウォルマートと商売を始めるとあとは泥沼ということになりかねないというのが、このショッキングな本が描くウォルマート商法である。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　「いつも低価格」を維持するために、次の年には５パーセント価格を下げろといった交渉を、ウォルマートは納入業者とやるそうだ。メーカーや卸しなどの納入業者は、ウォルマートに切られては困るから必死になってコストダウンをはかる。最初の何年かはそうした努力で価格の低下を吸収するが、いずれは限界に達する。&lt;br /&gt;　さて、そのとき、どうするか。何年も経てば、その会社はウォルマートに卸すことが前提になっている。ウォルマートと縁を切るなどという選択肢はもはやない。当然考えられるのは、生産拠点を海外、とくに中国や南米などに移すことだ。こうしてアメリカのメーカーの海外生産がどんどん進んでいく。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　しかし、「いつも低価格」は簡単なことでは維持できない。&lt;br /&gt;　ウォルマートの要求には限りがなく、さらに価格引き下げを求められた業者は、商品の品質を落とすしかない。こうしてブランド価値を誇っていたメーカーが、ウォルマート向けの低価格商品作りに手を染めていく、ということも起こる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ウォルマートで安く売られているのを知ったほかの大手小売りも黙っているわけはない。ウォルマート向けだったはずの低価格商品が、いつのまにかそのメーカーの中心商品になったりもする。量を売ることを最優先で事業再編を迫るウォルマートとの取引は「死のスパイラル」だという。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　こうしたウォルマートを批判するのは簡単だが、低価格を求めているのは消費者だ。ウォルマートは、そうした消費者の声を代弁しているともいえるのだ。&lt;br /&gt;　メーカーなどの納入業者も、ウォルマートの要求に応えられず切られてしまったとしても、それは、ウォルマートが無慈悲なのではない。価格引き下げを求める消費者の声に応えられなかった納入側の責任とも言える。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ウォルマート自身も「努力」している。従業員一人あたりの利幅はきわめて小さく、マイクロソフトの30分の１だ。納入業者にコストぎりぎりの価格を求めるだけでなく、自分たちもそうしている。しわ寄せは、当然ながらウォルマートの従業員にも行き、賃金は低く、福利厚生は不十分、仕事は単純でつまらないと犠牲を強いられる。ウォルマートはその地域の雇用を拡大しているというが、ほかの小売りがつぶれて国内産業が空洞化していくことを思えば、差し引きマイナスという調査もある。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ウォルマートがこれほど巨大でなければ、それほど問題ではなかっただろうとこの本は繰り返し述べている。しかし、あまりに大きすぎるので、出店先の地域に甚大な影響をあたえてしまう。史上最大の小売りの行なう価格の引き下げは、ときとして従業員はもちろん、地域全体の貧困化をもたらすという恐るべき結果さえ生むことになる。安さを求める消費者の欲望が、雇用を破壊し、地域経済を破壊する、というわけだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●低報酬の企業は社会全体に迷惑をかけている&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　この本で書かれているようなことは、部分的にはすでに日本でも起こっている。巨大な小売りが価格交渉力を握り、メーカーなどに強力な価格引き下げを求めるとともに、低価格を武器に中小の小売りを呑みこんでいる。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　ウォルマートへの批判で興味深いのは、従業員の賃金が低くて暮らしが成り立たないようだと、結局のところ社会全体に負担がかかるという点だ。&lt;br /&gt;　日本でも、ワーキングプアの存在が注目され、健康保険を持っていない人が増えていることが問題視されている。とはいえ、当事者以外には、どこか「人ごと」といったふうである。&lt;br /&gt;　しかし、じつはそうではないということが、ウォルマートに対する批判でははっきりと示されている。派遣や請負などの非正規雇用が増え、世帯の維持ができなくなったり、長時間労働で健康をそこなう人が増加すれば、生活保護や医療保険などの支出が増える。その結果、納税者みんなが困ったことになる。暮らしていけないような報酬しか払っていない企業は、社会に負担をかけ、社会的責任を果たしていないというわけだ。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　大企業が低賃金労働者を放置していることにはこういう問題がある。ウォルマートに対して突きつけられているこのような視点が、日本ではしばしば抜けていることに気づかされる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　この本が日本で出版されたのは昨年夏だが、原書は06年で、じつはこのあとウォルマートは苦境に陥っている。そして、この苦境にはネットとコンピューターが大きく関係しているという。&lt;br /&gt;　次回はそれについて書くことにしよう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;afterword&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　大量に仕入れて低価格で売ることのできる巨大小売りが有利になるというのは、価格の比較が容易なネットでは、もっと顕著に起こるのではないか。このところそうしたことが気になっていて、ウォルマートの本もそういう関心で読んだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;関連サイト&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;●ウォルマートのサイト（&lt;a href=&quot;http://www.walmart.com/&quot;&gt;http://www.walmart.com/&lt;/a&gt;）。アメリカの景気が怪しくなってきて、ウォルマートは低価格路線を一段と強化している。サイトでは、テレビやパソコンなど電化製品が目立つ。&lt;br /&gt;●チャールズ・フィッシュマン『ウォルマートに呑みこまれる世界――「いつも低価格」の裏側で何が起きているのか』（ダイヤモンド社）。ウォルマートの創立者サム・ウォルトンによる流通革命は、小売りの模範例としてかつて日本でももてはやされた。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;（週刊アスキー「仮想報道」Vol.525）&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;iframe marginwidth=&quot;0&quot; marginheight=&quot;0&quot; src=&quot;http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=bookcafe-22&amp;amp;o=9&amp;amp;p=8&amp;amp;l=as1&amp;amp;asins=4478000905&amp;amp;fc1=000000&amp;amp;IS2=1&amp;amp;lt1=_blank&amp;amp;lc1=0000FF&amp;amp;bc1=000000&amp;amp;bg1=FFFFFF&amp;amp;f=ifr&quot; frameborder=&quot;0&quot; scrolling=&quot;no&quot; style=&quot;WIDTH: 120px; HEIGHT: 240px&quot;&gt; &lt;/iframe&gt;&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>経済</dc:subject>

<dc:creator>歌田明弘の「地球村の事件簿」</dc:creator>
<dc:date>2008-03-21T09:15:00+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/03/post_5ce0.html">
<title>ポータルサイトはどこへ行く？</title>
<link>http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/03/post_5ce0.html</link>
<description>米ヤフーはマイクロソフトに買収されようとしているが、巨大ポータルサイトに生き残る道はないのか？広告やオープンＩＤなどの動きを見ながら考えてみる ●いつまで続く？　地味な３行ネット広告の時代...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;米ヤフーはマイクロソフトに買収されようとしているが、&lt;br /&gt;巨大ポータルサイトに生き残る道はないのか？&lt;br /&gt;広告やオープンＩＤなどの動きを見ながら考えてみる&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●いつまで続く？　地味な３行ネット広告の時代&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　マイクロソフトの米ヤフー買収の動きは、グーグルがほんとうに強いということをあらためて感じさせる。マイクロソフトがヤフーを何としても買収したいと必死になっているのは、検索連動広告やネット広告について独力ではすぐにグーグルに追いつく方法がないからだろう。ヤフーも、マイクロソフトの買収申し出をはねかえすだけの説得力のあるプランを株主たちに示すのはむずかしいようだ。グーグルの検索技術の強さが、現在のネット広告市場での優位を導き出している。&lt;br /&gt;　しかし、こうした状態はずっと続くのだろうか。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　グーグルの広告はおもに、検索やサイトの内容に応じて表示される地味な数行のテキスト広告だ。重要なネット広告がそうしたものであるという状況が、いつまでも続くとは思えない。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　私は、検索やブログの広告はほとんど見ない。しかし、そんな人がいてもかまわない。広告をクリックする人の割合は少なくても、広告がたくさん表示されれば積もり積もってそれなりのクリック数になるというのがそうした広告の理屈だ。けれども、広告収入を得ようとかライバルに無駄な出費をさせようということで広告をクリックする詐欺的な行為が少なからずあるし、ネット歴が長い人が増えてくればくるほど、検索結果に表われた広告をついうっかりクリックするなどということもなくなる。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　ところが私も、動画の広告だと、つい見てしまうことがある。おもしろい動画だったりすると、クリックして動画広告を提供している会社のサイトにアクセスし、さらに情報を得ようとしたりまでする。こうしたことは私だけではないだろう。&lt;br /&gt;　ブロードバンドが浸透するまでは、文字や静止画の広告が中心にならざるをえない。&lt;br /&gt;　そもそも広告は、20世紀前半までは文字や静止画が中心だった。しかしテレビが登場すると、動画広告が稼ぎ頭になった。&lt;br /&gt;　それと同じく、いまは新聞や雑誌の広告がネット広告と競っている状態だが、ブロードバンドの時代がいよいよ進み、もっとネットで動画を見るようになれば、こんどはテレビ広告との競争になり、動画広告が高いシェアを占めるようになる。&lt;br /&gt;　新聞の倍以上あるテレビ広告の売り上げがネット広告へと本格的に流れこめば、ネット広告はこれまで以上の伸びを示す。こうした時代が来れば、多様なコンテンツやサービスを提供しグーグルにまさるアクセスを集めているヤフーは、その強みが生きる。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●動画広告の時代とポータルサイト&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　グーグルは、コンテンツをたくみに集め一覧表示することはうまいが、おもしろいコンテンツをみずから作りだしているわけではない。ユーチューブのようにグーグルが「買ってきたサービス」は別として、おもなサービスは検索だから、グーグルは、いわば「通過するため」に使われている。&lt;br /&gt;　そうした役割のグーグルが、数行のテキスト広告ならばともかく、検索結果の横や他人のサイトに派手な動画広告を出せば、利用者やサイト運営者にいやがられる可能性がある。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　たとえサイト運営者が受け入れたとしても、ブランド価値を守りたい大手企業は、どこに広告が出てもいいとは考えない。そうした企業には、アクセスが多く、内容が安心できるポータルサイトのページは魅力的だ。動画広告の時代には、ブランド価値がありアクセスもあるポータルサイトの価値は高まるだろう。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　検索連動広告では、グーグルを超えないかぎり、グーグルと競争するのは難しい。同じ土俵で戦ってもうまく行くとは思えないが、動画広告という新たな土俵では、強力なポータルサイトが盛り返すチャンスはある。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;&lt;strong&gt;●「オープン化」がめざすもの&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　それ以外にも、ヤフーのようなポータルサイトが強みを発揮できるところがある。&lt;br /&gt;　いろいろなネットのサービスを使うたびに、それぞれのサイトでＩＤやパスワードを登録しなければならないのはわずらわしい。つい同じＩＤやパスワードを使い回ししがちだが、信用できるかどうかわからないサイトでそんなことをするのは考えものだ。&lt;br /&gt;　ヤフーは、自分たちのＩＤを「オープンＩＤ」として利用可能にしている。ヤフーのＩＤをオープンＩＤに設定しておけば、対応サイトでログインできる。ヤフーのほか、グーグル、マイクロソフトといった大手や、ベリサインのような認証技術をもつところがこのプロジェクトに加わることを表明し、オープンＩＤの活動に弾みがついてきた。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　日本のヤフーは、この「オープンＩＤ」以外にもオープン戦略を進めている。たとえば課金についても、ヤフーでクレジット番号などを登録していれば、ヤフーのほうで処理をすることを考えているそうだ。&lt;br /&gt;　よく知らないサイトでクレジットカード番号などを入力するのはためらわれるが、大手の信頼できるサイトがそうした面倒を見てくれるというのであれば、利用者はありがたい。&lt;br /&gt;　また中小のサービス提供者も、個人情報の管理や課金などを大手サイトがやってくれれば、おもしろいサービスを作ることだけに専念できる。&lt;br /&gt;　利用者にとっても新たなサービスを始めようとする企業にも都合がいい。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ヤフーとしては、広告を表示する媒体を増やすためにも、自分たちと協力関係にある外部サービスのネットワークを拡大していきたいようだ。&lt;br /&gt;　ネット広告では、利用者がどのようなサイトへアクセスし購入などの行動をしたかという履歴に応じて広告を出す行動ターゲティングと呼ばれる広告が次世代の技術として注目され、ヤフー・ジャパンも採用している。&lt;br /&gt;　この広告は、利用者の行動をできるだけ広範にフォローし、どういうことに関心を持っているかをつかんだうえで広告を出すのが効果的だ。広いネットワークを持っている広告提供者が有利になる。&lt;br /&gt;　ヤフーがオープン化を進めるのは、「時代の流れ」というだけでなく、こうした広告のためでもある。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　何ごとにも光と影はつきものだが、ヤフーがオープンＩＤへの対応を始めたといっても、ＩＤの提供者としてであり、少なくともいまのところは、たとえばグーグルのＩＤでヤフーの認証が通るわけではない。大手サイトは、自分のところのＩＤを他のサイトで使えるようにはするが、他のサイトのＩＤを自分のところで使えるようにはなかなかしない。&lt;br /&gt;　信用度の低いサイトの認証を利用して入ってこられても困るということはあるだろうが、広告や課金技術などとあわせて、ウェブサイトがヤフーやグーグル、マイクロソフトなど巨大ネット企業を中心に色分けされていく可能性もある。巨大グループのいずれかのネットワークに入らないと、ほかのサイトのサービスは、利用者のアクセスや広告効果の面で不利になり、生き残りにくい‥‥などということになっていくとしたら、それはかなり息苦しい。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;afterword&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;「オープンＩＤ」は一見いいことずくめのようだが、それひとつであちこちのサイトやサービスにログインできるので、フィッシングなどによって詐取されると被害は大きい。そうした懸念がどこまでなくなるかが普及のカギだろう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;関連サイト&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;●ヤフー・ジャパンのOpenIDのページ（&lt;a href=&quot;http://openid.yahoo.co.jp/&quot;&gt;http://openid.yahoo.co.jp/&lt;/a&gt;）。ヤフーのIDをOpenIDに設定すれば、対応サイトで、新たなIDやパスワードを登録する必要がなくなる。もっとも対応しているサイトはまだそれほどはない。&lt;br /&gt;●2月8日、マイクロソフト、ヤフー、グーグル、ＩＢＭ、ベリサインがOpenIDファウンデーションの理事になることが発表された（&lt;a href=&quot;http://www.microsoft.com/presspass/press/2008/feb08/02-07MSOpenIDPR.mspx&quot;&gt;http://www.microsoft.com/presspass/press/2008/feb08/02-07MSOpenIDPR.mspx&lt;/a&gt;）。&lt;br /&gt;●2月28日、テクノラティジャパン、ニフティ、ミクシィ、ヤフー、ライブドアなどが加わって、OpenIDファウンデーション・ジャパン（仮称）が設立されることが発表された（&lt;a href=&quot;http://openid.net/foundation/chapters/japan/&quot;&gt;http://openid.net/foundation/chapters/japan/&lt;/a&gt;）。&lt;br /&gt;●オープンＩＤも含めたヤフー・ジャパンの「オープン戦略」については、井上雅博社長のこのインタヴュー【&lt;a href=&quot;http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20080212/147022/&quot;&gt;http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20080212/147022/&lt;/a&gt;】が参考になる。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;（週刊アスキー「仮想報道」Vol.524）&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>マイクロソフトの米Yahoo!買収</dc:subject>

<dc:creator>歌田明弘の「地球村の事件簿」</dc:creator>
<dc:date>2008-03-14T09:30:00+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/03/212_12d8.html">
<title>米ヤフーの消えた「21世紀型メディア」の夢――米ヤフー衰退の理由（2）</title>
<link>http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/03/212_12d8.html</link>
<description>米ヤフーを率いてきた人物は、「未来のコンテンツ」をデザインするという野心を持っていた。その望みが消えようとしているが、そうなった理由はどこにあるのか？ ●ヤフーの歴史が消える？...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;米ヤフーを率いてきた人物は、&lt;br /&gt;「未来のコンテンツ」をデザインするという野心を持っていた。&lt;br /&gt;その望みが消えようとしているが、&lt;br /&gt;そうなった理由はどこにあるのか？&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●ヤフーの歴史が消える？&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　ＩＴ企業の栄枯盛衰が激しいのは日本でも同じだが、ウェブの発展とともにあった米ヤフーの歴史をたどり直してみると、そうしたことがほんとうによくわかる。&lt;br /&gt;　マイクロソフトの買収提案が通ったとしても、アクセスを集めているヤフーのポータルサイトが消えてしまうことは考えにくい。しかし、会社としての米ヤフーの存続は怪しくなってきたいま、ヤフーの発展と失敗の経緯を振り返ってみるのは意味がある。ウェブがどう発展し、いまどういう地点に行き着き、これからどうなろうとしているかが見えてくる格好のケーススタディだからだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ヤフーは、94年にスタンフォード大学の２人の大学院生がサイトのリストアップを始めたことから生まれたが、会社になったのは翌95年の３月。&lt;br /&gt;　サイトはたちまち人気を呼んだものの、創業から何年も財政状態はよくない。&lt;br /&gt;　98年まで赤字。&lt;br /&gt;　ただ95年８月に始めた広告の収入は毎年数倍の増加を示していたし、投資もあったから心配はしていなかっただろう。&lt;br /&gt;　それでも97年の赤字は４３００万ドル。&lt;br /&gt;　日本円にして50億円ほどだから、20代の若者たちの会社が抱えた借金はかなりのものだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　99年に黒字になったと思いきや、ＩＴバブルが崩壊して、01年にはまた９３００万ドルの大赤字。&lt;br /&gt;　ベンチャー・キャピタルからのカネで膨れあがった新興ネット企業の広告が収入の９割近くを占めていたが、それが一挙に吹き飛んだ。&lt;br /&gt;　その結果、売り上げが４割近く減ったのだから、経営陣は真っ青になったにちがいない。米ヤフー最大の危機は（今回を除けば）このときだった。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●バブル崩壊でヤフーが消えなかったワケ&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　危機を救ったのは、昨年までＣＥＯだったテリー・セメルだ。&lt;br /&gt;　ワーナー・ブラザーズの元経営者で、01年にヤフーのＣＥＯになったときには、メールも打てなかったと言われている。しかし、ヤフーに入るまでには２年ほどブランクがあり、その間、ＩＴ関係の投資をやっていたようなので、ＩＴの世界について無知だったわけではないだろう。ただ、コンピューター・オタクぞろいのヤフーの中では、「メールの打ち方もわからないやつ」同然ではあったにちがいない。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　セメルという人は、ともかく人柄はいいようだ。&lt;br /&gt;　経営が再び危うくなって、セメルは、激怒した株主たちに責め立てられ、文字どおり石をもって追われることになったわけだが、ヤフーの幹部たちは、ほんとうに名ごり惜しそうな、また深い感謝の念のこもった言葉を贈っている。&lt;br /&gt;　アメリカの企業の経営者にしては珍しく、リスクをおかすのも、がつがつ競争するのも好きではなかったようだが、ヤフーの創立者たちとはソリがあったようだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　セメルは、会社を建て直すために何か奇策をやったわけではなかった。&lt;br /&gt;　検索連動広告の創始者のオーバーチュアと関係を深め、この広告の導入によって売り上げを回復させた。&lt;br /&gt;　そのほかやったのは、学生同然だった社員たちに、社会人らしい心構えを植え付けたことだ。ネットという新たな分野で注目されていよいよ生意気になった若いスタッフたちはまともな広告営業もできなかった。&lt;br /&gt;　顧客の立場に立った営業をやらせるとともに、きちんと経営管理をした。つまりは会社らしくしたわけだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●ハリウッドの住人であることをやめられなかったヤフーのＣＥＯ&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;　&lt;/strong&gt;メールも打てないと言われたセメルだが、ネットに関して野心を抱いていないわけではなかった。&lt;br /&gt;　彼は、ヤフーを「21世紀のメディアにする」と言った。&lt;br /&gt;　これが運命の分かれ目だった。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　検索エンジンのインクトゥミやオーバーチュアを相次いで買収し、検索に力を入れたのだから、セメルには、それをもっと推し進めていくという選択肢もあったはずだ。そうしていれば、売り上げをグーグルに抜かれるようなことはなかっただろう。&lt;br /&gt;　しかし、セメルはそうしなかった。&lt;/p&gt;

&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;　ＳＮＳなど不特定多数の人々の情報発信を重視すると言いはしたが、そうした方面への目立った投資は、写真共有サイトのフリッカーの買収ぐらいだった。&lt;br /&gt;　むしろ彼が関心を示したのは、「プロのコンテンツ」のほうだ。&lt;/p&gt;&lt;blockquote dir=&quot;ltr&quot;&gt;&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;　「私はヤフーのことを主要なメディアを動かす21世紀の技術企業だと見ている。ネットのコンテンツがどうなるか未来をデザインすることに手を貸したい」&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;　セメルはそう言い、ネットを使って茶の間のテレビやモバイル機器に、映画や音楽などヤフーのコンテンツを送りこむことを夢見た。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ライバルのグーグルのほうは、一貫してコンテンツを作ることには興味はない。ユーザーがコンテンツを見つけやすくするのを仕事にした。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　08年のいま、どちらが正解だったかといえば、グーグルのほうということになる。&lt;br /&gt;　お茶の間のテレビや携帯電話でネットのコンテンツを見るということは始まったばかりで、ヤフーのように大きな会社の収益を支えるにはまだ早い。将来はともかく、これまでのところは検索連動広告で地道に利益を上げることを考えるべきだった。&lt;br /&gt;　結局セメルは、ヤフーに移ってからもハリウッドの人間であることをやめられなかったことになる。&lt;/p&gt;

&lt;p dir=&quot;ltr&quot; style=&quot;MARGIN-RIGHT: 0px&quot;&gt;　グーグルに売り上げを抜かれたのは05年だが、06年になると収益が伸びていないことがはっきりしてきた。&lt;br /&gt;　07年６月の株主総会では、セメルら幹部に不満が集まった。総会は何とか乗りきったものの、株主たちの信頼を失ったことを悟ったセメルは、ＣＥＯの座を創業者のジェリー・ヤンに譲らざるをえなかった。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●ネットの「未来のコンテンツ」はどのようなものか&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　セメルがうまく行かなかったのには、彼の言う「未来のコンテンツ」がマトを射ていなかったこともあっただろう。&lt;br /&gt;　ちょっと前までの「ネットとテレビの融合」のイメージは、「ネットを使って、映画やドラマがオンデマンドで見れますよ」といったたぐいのものだった。しかし、利用者が求めているのは、少なくともさしあたりそんな「テレビ化したネット」ではないようだ。ユーチューブやニコニコ動画、あるいはブログ、ＳＮＳに見られるように、情報発信にはるかに重きをおいたコンテンツが好まれる。ドラマにしても、もっと双方向性やユーザーからの情報発信を取り入れて、それによってストーリーが作られていくケータイ小説のようなものが「未来のコンテンツ」になっていくのではないか。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　いずれにしても、おそらくかなり長いあいだいろいろな試みがなされ、流行ってはすたれるといったことが繰り返されるにちがいない。ヤフーのようなポータルサイトが、新たなサービスが生まれるたびに自前で作ったり買収したりしていたのでは切りがない。そうした流行りのコンテンツに利用者がアクセスしやすくすることがポータルサイトの未来像なのかもしれない。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　実際、アメリカのヤフーも日本のヤフーもそうした方向にすでに歩み出している。&lt;br /&gt;　巨大ポータルサイトがどこへ向かおうとしているのか、次回はそれについて書くことにしよう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;afterword&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　前号で、米ヤフーは、サービスをたくさん作りすぎて収益を圧迫していると書いたが、グーグルと比較してコストがかかっているのはマーケティングの費用のようだ。つまり広告を取るのに、グーグルより手間がかかっているというわけだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;（週刊アスキー「仮想報道」Vol.523）&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>マイクロソフトの米Yahoo!買収</dc:subject>

<dc:creator>歌田明弘の「地球村の事件簿」</dc:creator>
<dc:date>2008-03-07T09:20:00+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/02/post_7fa4.html">
<title>米ヤフーはどうしてそんなに落ち目になったのか？――米ヤフー衰退の理由（１）</title>
<link>http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/02/post_7fa4.html</link>
<description>マイクロソフトが買収を申し出て、その苦境が日本でも注目を集めているが、米ヤフーはいまでも多くの点でナンバー１だ。問題はどこにあるのか。 ●「あなたの会社が売られようとしています」...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;マイクロソフトが買収を申し出て、&lt;br /&gt;その苦境が日本でも注目を集めているが、&lt;br /&gt;米ヤフーはいまでも多くの点でナンバー１だ。&lt;br /&gt;問題はどこにあるのか。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●「あなたの会社が売られようとしています」&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　大学に入ってあちこちからやってきた学生と同じクラスになり、カルチャー・ショックを感じたことがいくつかあったが、そのひとつは、福島出身者と鹿児島や山口の出身者が、ろくに口もきかないうちからけんかを始めたことだ。&lt;br /&gt;　これらの地域は、１５０年ほどまでは、会津、薩摩、長州と呼ばれていた。明治維新のときに、会津は最後まで幕府側につき白虎隊などが無惨な死を遂げた。一方、薩長の人々は、新政府の要職に就いて歴史に名を残すことになったわけだが、二十歳前の学生が、１００年以上も前のその恨みをまだ引きずっていたのだ。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　私は当初、彼らはふざけているのかと思った。まあいくぶんかは誇張していたのかもしれないが、負けた会津出身のクラスメートが薩長に対して好ましからざる感情を抱いていることは確かのようだった。「おい、いったい今は何時代だと思っているんだ」と私はバカバカしくなりながらも唖然としたものだった。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　マイクロソフトに買収をもちかけられたアメリカのヤフーは、トップから従業員まで「マイクロソフトには行きたくない」と思っている人が多いらしい。&lt;br /&gt;　人が生き死にした明治維新のときの戦いと企業間の争いを一緒くたにするのは何だけど、ビル・ゲイツはじめマイクロソフトの創立メンバーが東海岸のハーバード出身なのに対し、ヤフーもグーグルも創立者は西海岸のスタンフォードの大学院出身。現在の会社の所在地は、どちらも西海岸ではあるものの、マイクロソフトがシアトルであるのに対し、ヤフーもグーグルもシリコンバレー。開放的な大学の雰囲気も残るヤフーやグーグルは、ビル・ゲイツの号令一下アグレッシブに突き進むマイクロソフトとは企業文化も違うようだ。&lt;br /&gt;　グーグルとヤフーはそれぞれ検索市場のトップとナンバー２で激しく争っているはずなのに、ヤフーは、３位のマイクロソフトよりグーグルのほうに親近感を感じている。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　会津と薩長の対立はともかく、日本だったら、トップから従業員にいたるまで、「あの会社の傘下に入りたくはない」と思っているのであれば、株主たちもそれほどは無理じいできず、買収側はやがてあきらめざるをえない‥‥ということが、このところ日本では何度も起こっている。外資はあきれてだんだんと日本から離れ始め、日本の株価が上がらない理由のひとつにもなっているらしいが、アメリカのヤフーは、残念ながらそんなのんびりした状況ではないようだ。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　米ヤフーは、昨年タイム・ワーナーから来て６年間ヤフーを率いてきたテリー・セメルに替わって、創業者のジェリー・ヤンが最高経営責任者（ＣＥＯ）になった。こんどの経緯を説明するためにヤンが株主たちに送ったメールは、「マイクロソフトは&lt;u&gt;あなたの会社&lt;/u&gt;を買うという&lt;u&gt;求めてもいない提案&lt;/u&gt;をしてきました」という言葉で始まっている。&lt;br /&gt;　「会社は株主のもの」だから、思いがけない買収を仕掛けられているのはほかならぬ「あなたたち株主の会社」というわけだ。&lt;br /&gt;　日本だったら、大株主はともかくとして、小口の株を持っているぐらいで「あなたの会社が買われようとしています」などという手紙を受けとったら、株主たちはそうとうびっくりするだろう。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　こんなメールが送られるぐらいだから、創業者や従業員がどんな感情を抱こうが、判断するのは株主で、マイクロソフトが買収価格を上げて再提案してくれば、マイクロソフト嫌いのＣＥＯも断われなくなるのではないかと見られている。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●儲かる会社（＝グーグル）と儲からない会社（＝米ヤフー）はどこが違うのか&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　しかしそもそも、アメリカのヤフーは何でこんなにまで苦境に陥ってしまったのだろうか。&lt;br /&gt;　日本の場合は、私も含めた物書きやメディアが「グーグル、グーグル」と騒いでいるのを尻目に、検索シェアでもページビューでもヤフーが圧倒している。グーグルの検索シェアはしだいに上がってきているものの、ヤフーは安定した地位を占めている。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　アメリカのヤフーも、検索シェアではグーグルの３分の１ほどだが、サイトへのアクセスではまだまだ勝っている。07年の売り上げも70億ドルほどで、前年から８パーセント伸びている。グーグルは前年から56パーセント伸びていて１６０億ドルもの売り上げがあるので、それに比べればそうとう見劣りするし、ネット広告市場の拡大スピードに比べても低成長だが、「赤字が積もり積もって身売り」などというわけではない。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　株主に宛てたメールの中でＣＥＯのヤンも、われわれには世界のネット利用者の半分にあたる５億人以上のユーザーがおり、パーソナル化できるホームページや、メール、ニュース、音楽、ショッピング、旅行などよく使われるネット・サービスでナンバーワンであり、ウェブ上の広告量の90パーセントを占めるディスプレイ広告でもトップである、などとその実績を強調している。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　では何が問題なのか。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ヤフーの危機の直接的な原因は、ネット広告の「ドル箱」の検索連動広告で出遅れたことだと言われている。&lt;br /&gt;　またヤフーは、売り上げは一応伸びてはいるものの、営業コストなどを除いた営業利益は前年から26パーセントも減少している。前の年も15パーセント減で、このところ利益が落ち続けている。サービスをあれもこれも増やした結果、コストがかかるわりに儲からない体質になってしまっている。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●時間はもうない？&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　こうしたヤフーとは対照的に、グーグルは、かなり長いこと検索一本でやってきた。最近でこそユーチューブを買収するなど業務を拡張しているが、創業からしばらくは、「検索なんかでほんとに儲かるのか」といぶかる周囲をものともせず、「利用者のためになることに力を尽くす」と検索にエネルギーを注いだ。その姿はいかにも「まじめな好青年」といった感じで、その真摯な態度には、私も含めた多くのネット・ユーザーはジーンとさせられた。&lt;br /&gt;　しかし、こうして検索広告が高い利益を生むようになってみると、よけいなことにお金を使わないぶんだけいよいよ儲かる会社になっていることに気づく。「うーん、まじめな好青年だと思っていたけど、あれはもしかして深謀遠慮だったのか」といったふうになってきた。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ヤフーとしては、グーグル追い上げに必要な検索連動広告についても手はすでに打っている。&lt;br /&gt;　余分な人材を削って儲けにつながる部門を強化するために、１月には全社員の７パーセントにあたる１０００人の削減も発表した。&lt;br /&gt;　さしあたりやれることはやった。&lt;br /&gt;　マイクロソフトも、ヤフー買収しかグーグルに追いつく方法がなくなってきたようだが、ヤフーもまた、画期的な打開策がない。&lt;br /&gt;　それでも昨年半ばにＣＥＯになったジェリー・ヤンにすれば、「もう少し時間をくれ」と言いたいところだろう。しかし、非情な株主資本主義が実践されているアメリカでは、ヤフーに与えられる時間はいよいよ少なくなってきたようだ。　　（以下続く）&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;afterword&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;日本のヤフーも、相当な数のサービスを提供し、コストはかかっている。日本のヤフーは、そのぶん利益を上げているから（営業利益率50パーセント！）困らないわけだけど。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;関連サイト&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;●米Yahoo!とGoogleの月間ユニークユーザーの推移。上の折れ線がYahoo!。CompeteのSite Analytics（&lt;a href=&quot;http://siteanalytics.compete.com/yahoo.com+google.com/&quot;&gt;http://siteanalytics.compete.com/yahoo.com+google.com/&lt;/a&gt;）より。&lt;br /&gt;●Yahoo!の創業者でＣＥＯのジェリー・ヤンが株主たちに宛てたメールを公開したプレスリリース（&lt;a href=&quot;http://yhoo.client.shareholder.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=294288&quot;&gt;http://yhoo.client.shareholder.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=294288&lt;/a&gt;）。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;（週刊アスキー「仮想報道」Vol.522）&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;【追記】&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　米ヤフーは、サービスをたくさん作りすぎて収益を圧迫していると書いたが、グーグルと比較してコストがかかっているのはマーケティングの費用のようだ。つまり広告を取るのに、グーグルより手間がかかっているというわけだ。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>マイクロソフトの米Yahoo!買収</dc:subject>

<dc:creator>歌田明弘の「地球村の事件簿」</dc:creator>
<dc:date>2008-02-29T10:02:00+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/02/post_792a.html">
<title>マイクロソフトがヤフー買収に必死になる理由</title>
<link>http://blog.a-utada.com/chikyu/2008/02/post_792a.html</link>
<description>マイクロソフトとグーグルの争いは「最終戦争」の熱っぽささえ帯びてきたが、巨大ＩＴ企業は死活的に何を重要と考えているのか。 ●つかみ合いのケンカにならんばかりの非難の応酬...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;マイクロソフトとグーグルの争いは&lt;br /&gt;「最終戦争」の熱っぽささえ帯びてきたが、&lt;br /&gt;巨大ＩＴ企業は死活的に何を重要と考えているのか。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●つかみ合いのケンカにならんばかりの非難の応酬&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;&lt;strong&gt;&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　&lt;br /&gt;　マイクロソフトの米ヤフー買収に対するグーグルの反発はすさまじい。&lt;/p&gt;&lt;blockquote dir=&quot;ltr&quot;&gt;&lt;p&gt;「マイクロソフトは、ＰＣでやったのと同様に、こんどはインターネットに対しても不適切で違法な影響力を行使しようとするのか？　ネットは競争的な改革によって発展してきたが、マイクロソフトはしばしば独占的な力を打ち立てようとし、その支配力を新たな隣接市場でも用いてきた。過去の深刻な法令違反にもかかわらず、ヤフーの買収によって、マイクロソフトが不公正なやり方をブラウザやＯＳからインターネットにまで広げるのを認めるのか」&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&lt;p dir=&quot;ltr&quot;&gt;　この声明は、グーグルの上級副社長兼チーフ・リーガル・オフィサーの名前で出されている。グーグルの法務の最高責任者の名にかけて、マイクロソフトは違法行為をしてきた、と非難しているわけだ。&lt;br /&gt;　日本のメディアもこの声明をとりあげたが、「違法な」というくだりは、テレビなどでは飛ばしていることが多い。マイクロソフトに気を使ったというよりも、あまりに激しすぎてそのまま放送してしまっていいのか、という判断もあったにちがいない。&lt;/p&gt;

&lt;p dir=&quot;ltr&quot;&gt;　少なくとも日本の大会社だったら、業界トップの会社に向かって、「おまえらのやっていることはずっと違法なんだよ！」と決めつける公式声明を出すなんてことはまずやらないだろう。日本の大企業の場合はライバル会社といっても、業界の新年会なんかでトップ同士が「やあやあ、今年もよろしく」「こちらこそお手やわらかに」なんて挨拶を交わしている。&lt;br /&gt;　マイクロソフトとグーグルの幹部も、パーティーやイベントなどで同席することはあるにちがいないが、これでは、「テメー、おれたちを犯罪者あつかいにしやがって」「ナニー、だって実際そのとおりだろう、この独禁法違反者め！」「キサマたちこそ！」などとつかみ合いのケンカになりそうだ。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　グーグルも、大手ネット広告会社の米ダブルクリックを買収しようとして、マイクロソフトなどがすかさず「独禁法違反だ！」と欧米の規制当局に働きかけて、「待った」をかけられる、ということがあった。そのほか、人材の引き抜きなどで、両社はことあるごとにぶつかっている。だから、グーグルのこの声明には、いわば積もり積もった鬱憤もこもっているのだろう。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　マイクロソフトも、グーグルが声明を出したのと同じ日、ネットではグーグルこそが支配的な地位を占めており、ヤフーの買収は、ネットの公開性と改革、プライバシー保護に貢献すると反撃する声明を出している。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●ヤフー買収でほんとうに相乗効果はあるのか&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　ふたつの会社の争いは、行き着くところまで行き着き始めた気もするが、そもそもマイクロソフトはいったい何でヤフーを買収しようと思ったのか。&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　２月１日にヤフーに提示したヤフー株の購入価格は市場価格の６割り増しで、買収額は４４６億ドル（４兆７５００億円）。お金持ちのマイクロソフトも創業以来初めて借金して費用を捻出するつもりだったようだが、ヤフーは「安すぎる」と蹴った。しかし、この額には「高すぎる」と見る声もあった。マイクロソフトは、07年の４兆円のネット広告市場が３年後には倍の８兆円になると見ているが、アメリカ経済が怪しくなれば広告収入も頭うちになる。期待どおりにいくとはかぎらない。&lt;br /&gt;　また、両社の合併による相乗効果は年１０００億円ほどだと、マイクロソフトは言っている。５兆円近い買収の帳尻をあわせるには、単純計算すれば50年近くかかることになる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　メディアなどでは、「アメリカにおけるグーグルの検索シェアが６割にたいして、ヤフーが２割、マイクロソフトが１割で、両社をたすと３割になる」などと説明している。しかし、買収によってどちらかの検索がなくなってしまうのであれば、なくなった検索の利用者はグーグルにも流れる。検索にかぎらず、こうしたことは起こる。メールや動画などほかのサービスでも、両社で重複しているものをひとつにすれば、両社の合計のシェアが落ち、グーグルを利することにもなりかねない。サービスを統合するのはむずかしく、合併によって合理化をはかるということもやりにくい。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;strong&gt;●検索がすべてのカギを握っている&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;　&lt;br /&gt;　マイクロソフトは、こんどの合併は考え抜いた上でのことだと言っているから、こんなことはわかっているはずだ。ではなぜ合併しようとするのか。&lt;br /&gt;　同社は、次の４つの面で相乗効果を期待できるという。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;①利用者増によって規模の経済が働き、広告の価値を高めることができる。&lt;br /&gt;②両社の力が合わさって、技術発展を推進できる。&lt;br /&gt;③余分なコストが削減できる。&lt;br /&gt;④動画やモバイル、オンライン商取引、ソーシャル・メディアなどの新しい分野に力を注げる。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　こう列挙しているが、何としてもここでヤフーと合併しなければ、とマイクロソフトに決断させたのは①の広告だろう。&lt;br /&gt;　強力な広告ビジネスを持っているところが圧倒的に強くなる、というのがこのところのネットの潮流だ。グーグルは、広告収入をもとに、大容量のウェブメールや、オンラインで使えるワープロ、表計算から航空写真や本のデジタル・データまで、すべて無料で提供している。いずれは動画や音楽の無料配信などもやりかねない。&lt;br /&gt;　マイクロソフトはヤフーに呼びかけた文章の中で、「今日、広告のプラットフォームには、規模という点で、ひとつの競争者しかいない」と言っている。つまり世界の検索連動広告の75パーセントを占めるグーグルだけで、自分たちはグーグルの競争相手には成りえていない、と率直に認めているわけだ。&lt;br /&gt;　そして、そのネット広告事業を支えるのが検索である。ネットで情報を見つけるためには検索はすでに十分に重要なものになっているが、その重要性はますます高まっていく。&lt;br /&gt;　ウェブメールでも、ゲームや音楽・映像のダウンロード、ケータイのもろもろのサービスなどでも、利用者がほしいものをすばやく簡単にまた適確に見つけられなければ話にならない。すぐれた検索をもっているところが圧倒的に有利になる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　マイクロソフトのＣＥＯスティーヴ・バ