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2012.08.06

明かされ始めたグーグルの秘密研究

グーグルがメガネ型ウェアラブル・コンピューターの
研究をしているというのは、驚きの発表だった。
宇宙エレベーターなども研究しているというが‥‥

●これひとつあればケータイもコンピューターもいらない?

 前回はグーグルが始めたクルマの自動走行プロジェクトをとりあげたが、「プロジェクト・グラス」もグーグルらしくておもしろい。メガネにコンピュータを仕込んだウェアラブル・コンピューターの研究をしている。

 グーグルのSNS「グーグル・プラス」にもページができていて、こう紹介されている。

「われわれは、テクノロジーはあなたのためのものであるべきだと思う。あなたが必要とするときにはそこにあり、必要でないときにはあなたの邪魔をしない。われわれはこうしたテクノロジーを打ち立てるためにプロジェクト・グラスをスタートした。しかるべき瞬間にあなたを立ち戻らせ、あなたの世界を探索し共有するのを助ける技術だ」。

 サイトには、軽くスポーティーな「コンピューター・メガネ」をかけている若い男女の写真がいくつも載っていて、2分半の動画も公開されている。こんな具合だ。

 朝、目を開けると、視界に丸いアイコンが浮かんでいる。コーヒーを入れて出かける支度をしているあいだに、それらのアイコンが次々と情報を知らせてくる。「今晩6時半にジェスと会う」などといったスケジュールを知らせてくる一方で、窓から空を見上げていると、こちらの気持ちがわかったかのように、今日の天気予報を教えてくれる。
 朝食のパンをパクついていると、「今日会うかい?」などと友だちのメッセージが来る。キーボードに打ちこまなくても、「2時に本屋の前で会おう」とつぶやけば、そのまま返信される。
 家を出て地下鉄の階段を下りていくと、「動いていません」とメッセージが。乗るのをあきらめ、「右へ」などとタイムリーに表示される矢印にしたがって歩いていくことにする。壁に好きなミュージシャンのコンサートのポスターが貼ってあったので、チケットをゲットする。
 書店に入り「音楽書はどこだ」とつぶやくと、たちどころに店内の地図が表示され、どう行ったらいいかを案内してくれる。友だちが近くまで来たと表示されたので、書店を出て会う。
 友だちと別れて歩いていると、ドアにおもしろい絵が描いてあった。「かっこいい絵だな」とつぶやくと、メガネがカメラになってシャッターが切られた。撮った写真を共有するかどうか聞いてきたので仲間に送る。
 あっ、遅れそうだ。ビルの階段を駆け上がる。ガールフレンドが電話をかけてくる時間だ。聞いていた音楽を止める。
 彼女が電話してきた。「つなぐ」と指示すると前方下に彼女の顔が現れる。「おもしろいもの見たい?」と尋ねる。うなずいたので、画像共有のビデオ設定にする。ビルの屋上からの日没の光景が彼女にも見える。持ってきたウクレレを弾き始めると、「あら、きれい」と彼女は喜んでくれた‥‥

 こんな具合だ。
 なんとなく陳腐な感じもするが、コンピューターやスマートフォン、携帯電話などの機器を持ち歩かずともこのメガネをかけているだけですむならばたしかに便利だ。

 陳腐に感じるのは、この映像の世界がかならずしも夢物語のようには思えないからだろう。SF映画などで見たようなシーンだし、まもなく実現したとしてもいまやもうそんなに不思議には思えなくなっている。

●宇宙エレベーターに「モノをつなぐウェブ」

 グーグル内部を詳しくレポートした本『グーグル ネット覇者の真実――追われる立場から追う立場へ』によれば、オープンな会社というイメージとは裏腹に、グーグルには諜報機関並みの秘密主義的側面があるという。それは、創立者でCEOのラリー・ペイジの「知的財産を守りたい」という強い防衛本能にもとづくものだと書かれている。自動走行車にしてもこの「プロジェクト・グラス」にしても、秘密の厚いベールのなかで行なわれている研究だ。

 ほかにもいろいろな研究を考えているらしい。
 「グーグルX」といういかにも謎めいた名前のもとに、100ほどの研究がリストアップされているともいわれている。数多いプロジェクトのなかからこのふたつだけ公表されているのは、具体的に開発が進んでいるからだろう。

 昨年11月ニューヨークタイムズは、この「グーグルX」をスクープした。
 記事は、「ベイエリアの非公開の場所にあるトップシークレットの研究所でロボットが自由に走りまわり、未来を思い浮かべようとしている」という文章で始まっている。グーグルの社員の多くはその存在を知らず、関係者がなかなか話してくれないとぼやきながらも、けっこう詳しい記事になっている。

 ここで行なわれているのは、誰でもできるようなものではない。
 その道の一線級の人を必要としており、外部の人間も加わっていると思われる。守秘義務は課されているだろうが、まったく秘密にしとおすのはむずかしいかもしれない。

 自動走行車とメガネ以外の研究が具体的にどれぐらい実際に進んでいるのかはわからないが、ロボットやエネルギーに関する技術が多そうだ。
 ニューヨークタイムズの記事では、宇宙エレベーターにも触れられている。これは、地球をまわる人工衛星からカーボン・ナノチューブなどを使った強靱なヒモを地上にたらし、それをたどって空にのぼっていく乗り物だ。ロケットよりも安上がりに宇宙に人を送れるということで、技術を競うコンテストなども行なわれている。
 グーグルの創立者も長く夢見てきたそうだ。「グーグルX」でもやっているのでは、とニューヨークタイムズは書いている。
 この新聞が言及したことで、ほかのメディアも、「『グーグルX』では宇宙エレベーターを開発している」などと書きたてている。しかし、もとの記事では、あくまで可能性のひとつとして書かれているだけだ。

 このほか「モノ」をインターネットに接続して操る技術についても書かれている。
 電球をネットにつなげば、戸外にいてもスマートフォンなどで点けたり消したりできる。冷蔵庫をネット接続すれば、なかの食料品が減ったとき、ロボットが感知して買ってきて補充してくれる。こうしたことは、日本でも前世紀からいずれできるのではないかと言われ、日本のメーカーも製品化を試みていた。そういう意味ではかならずしも斬新なアイデアとは言えないが、ネットの延長にある技術としてグーグルが研究していてもおかしくはない。

 実際のところ、グーグルはかなり広い領域の研究に目配りしているようだ。いろいろなジャンルの先端的な研究者を集めてプレゼンの会のようなものもやっている。「Xについて解く」というサイトが作られ、動画をまじえて、その様子が公開され始めた。クルマの自動走行や「プロジェクト・グラス」のほか、量子コンピューターや省エネ・コンピューター、風力発電、超音速飛行、吸引する滋養剤など多様な研究が並んでいる。具体的に開発を進める一方で、広く網を広げて自分たちがやるべき研究を探しているのだろう。

関連サイト
●グーグルのSNS「グーグル・プラス」の「プロジェクト・グラス」のページ(

https://plus.google.com/111626127367496192147/posts)。自分の見ているものを他人と共有できるようになるとこんなことができると次々と動画がアップされている。
●グーグルが取りかかるべき先端分野を探っている「Xについて解く」のサイト(
http://www.wesolveforx.com/)。

(週刊アスキー「仮想報道」Vol.735)

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