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2007.12.14

ネット広告ツールがおもしろい

個人サイトにいたるまでネット中に広告が溢れているが、
グーグルはじめ検索広告会社は技術革新を進め、
おもしろい広告ツールをいろいろと提供している。

●いたれりつくせりのグーグルの広告サイト

 ネット広告市場が急成長している。電通の調べによれば、昨年のインターネット広告費は30パーセント近い伸びで、検索連動広告はその4分の1を占 めるまでになった。検索サイトとして、グーグルは日本ではヤフーに次ぐ2番手だが、欧米では過半数のシェアを占め、そのシェアをさらに拡大している。
  グーグルはクリックされるたびに課金する広告を2002年に始めた。大手企業ばかりでなく、小さな企業や個人まで簡単に広告を出せるようにした。こうした 広告主が、広告代理店などの助けなしに独力で効果的な広告を出すためには、グーグル自身がノウハウを教え、さらに広告効果を把握しブラッシュアップするた めのツールを提供する必要がある。

 グーグルの広告サイトをしばらくぶりに覗いてみたら、見違えるほど充実したものになっていた。さまざまなツールがそろい、ノウハウを語った日本語 の詳しい説明ページもできている。申し込みから広告の出し方についてのトレーニングまで、サイトですべて完結させようとしている。
 おもしろいこ とにグーグルは、いまや自分のところの広告効果だけでなく、ライバルのヤフーなどの広告もあわせてトラッキングし、比較分析できるツールまで配布してい る。グーグルがよく言うように、ともかくも利用者の役に立つことならばやります、ということなのだろう。まあ実際のところ、急成長を続けている現在のネッ ト広告市場では、いくつもの会社がともに伸びていく余地があるはずだ。

●「ふられる確率」までいまやわかる?

 ヤフーでもグーグルでも、その広告がどれぐらいクリックされるかは、「出してみないとわからない」などという悠長なことではなくて、あらかじめク リック率や表示回数を算出して提示してくれる。これこれの予算だとこれぐらいクリックされて、こうなりますとデータをはじき出してくれるわけだ。
  どうしてそんなことができるのかと思うかもしれないが、いまやネットの世界は、確率に基づいた事前予測の技術まで大活躍するようになってきた。コンピュー ターはもともと計算が得意だが、もはやときに能力が余るほどだ。グーグルのウェブ・メール「Gメール」などは、どんなにたくさん迷惑メールが来ても自動的 に仕分けして必要なメールだけを受信フォルダに入れてくれる。そうしたことができるのは、膨大なデータを集めて解析し、確率精度を高めた迷惑メール対策が 行なわれているからだ。こうした技術があることを思えば、広告効果の事前予測ができても不思議はない。
 データさえたくさんあれば、いまや女の子に声をかける前に「ふられる確率何パーセント」なんて数字が‥‥ということはないかもしれないが、相性の合う人を紹介してくれるネットサービスなどでは、すでに確率論にもとづく技術を使っているかもしれない。

 グーグルは、もちろん技術をひけらかすためにこうした事前予測ツールを提供しているわけではない。広告主が、広告を表示するキーワードの選定を変 えたり、1クリックあたりいくら支払うかを変えたりといった調整をして、広告効果を高めてもらうことが目的だ。広告を出したらそのままほっておいてはだめ で、随時見直して広告効果を高めていくことが必要だ、とグーグルは、ラーニング・センターなどでも説いている。

 このラーニングセンターのサイトにはびっくりするほど膨大なレッスンが詰め込まれている。単行本1冊ぶんぐらいの量はある。「レッスン」などと書 かれていて、まったく「お勉強モード」だが、その気になればかなり奥が深そうだ。こうしたクリック課金広告で業績を伸ばしている会社はいくつもあるのだか ら、まじめに研究する価値はあるし、実際そうしている企業や個人は多いだろう。

●広告をクリックするだけであなたの時給○時間ぶん?

 こうしたツールは、広告を出さなければ使えないものだが、広告主にならなくても使ってみることのできるものもある。キーワードを入力して、その平均クリック単価がいくらになるかをはじき出してくれるツールである。
  ウェブ上はいまや個人サイトまでいたるところにネット広告が表示されているが、私自身はめったに広告をクリックしたりはしない。だけど、クリックすると いったいどれぐらいの広告費が発生するのだろう。どうせやるなら、高い広告費をはじき出させてみたい。「中古車」「マンション」「サラ金」「保険」の4語 で見積もりを出してみた。
 「サラ金」などというキーワードは、セリになってたいへんな高値になっているかと思えば、意外にそれほどでもなくて、534円だった。
  関連語もキーワード設定される設定にしたので、もっとも高い平均クリック単価になったのは「自動車保険」で、2177円。これを高いと思うかどうかは人そ れぞれだけど、「えー、自動車保険って広告は、1クリックするだけで、私の時給○時間ぶんだ」とイヤーな気分になった人もいるはずだ。
 まあ、こうしたことがわかってみると、見飛ばしている広告も新鮮に見える。
  サイトに広告を設置していれば、クリックや表示されたときに発生する広告費の一部がそのサイト開設者の収入になる。「自動車保険に入る気はないけれど、そ んなに高いんだったらクリックしてあげようか」などという人も出てくるかもしれない。「保健所」だと7円にしかならないけれど、「自動車保険」はその 311倍なわけだから、広告を設置しているサイト開設者の収入もかなりの違いになる。

 当然ながら、といっていいかどうかはわからないけれど、サイト開設者の中には、「だったら、自分で広告をクリックしちゃおうか」という人も出てくる。
  けれども、グーグルなどは、サイト開設者が広告設置を申しこむときに、自分でクリックしないことや、アクセスしてきた人が広告をクリックするように誘導す るといったことはしないよう求めている。それに反して、サイト開設者が自分でクリックしたときには、それ相応のバツがある。グーグルが高い給料を払って全 世界から集めた超優秀な技術者たちが、日夜こうした詐欺行為を防ぐために頭をめぐらせているのだから、悪知恵を働かせることにそうとう自信でもないかぎり やめておいたほうが無難だろう。
 ところが、こうしたクリック詐欺が、じつはアメリカなどで大問題になっている。グーグルは、クリック詐欺につい てメディアは騒ぎすぎ、という姿勢を最初はとっていた。しかし、広告収入が99パーセントを占めるグーグルにとって、広告という事業の屋台骨にキズがつけ ば会社全体が傾きかねない。ここにきていよいよ真剣に対策を練り始めたようだ。次回からはその話を書くことにしよう。

afterword
 クリック単価の高いのは何かを探してみたが、実際のところ広告主は、クリック単価を低くしたいはずだ。グーグルは、クリック率をよくし、広告との関連性を高めるなど改良すればするほど、クリック単価を下げられると説明している。

関連サイト
グーグルのキーワードツール。キーワードを入れてクリックするだけで、平均クリック単価の見積もりが出る。そのほか競合する広告主の数や検索数、検索されることが多い月などがわかる。
●グーグルのさまざまな広告ツールが提供されている「グーグル・アナリティック」のページ
●グーグルの広告プログラムについてのお勉強サイト「ラーニングセンター」

(週刊アスキー「仮想報道」Vol.512)

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