ただ機種変更するより、ケータイ会社を変えたほうがおトク?
ケータイは、格安の端末料金に
高割引の通信料金と、お得感が漂う一方で、
目の玉が飛び出す請求書が来ることもある。
もっとわかりやすい仕組みになるか?
●いつのまにか番号ポータビリティ
番号ポータビリティ制度を使って、ケータイ会社を変えようと思っている。もともとはそんな大それたこと(?)を考えていたわけではなかった。
GPSなどの新しい機能付きの携帯電話にしようと思っただけだった。しかし、携帯電話を店頭で見たり、パンフを見たりしているうちに気が変わった。
ただ機種変更するよりも、ケータイ会社を変えて、新しいケータイを手に入れたほうが安い。もちろんケータイ会社を変えてしまえば、最大で50パーセント割
引になる「年割」とか「いちねん割引」などと呼ばれる継続使用にともなう割引率は適用されなくなる。しかし、家族割引などを入れれば、最初から35パーセ
ントぐらいは割引きされる。ケータイ会社の変更にともなう手数料もかかるが、新しいケータイが格安で手にはいり、いままでと少し違った目新しいサービスも
利用できることを思えば、全体としてトクな気分がする。
ケータイ会社が変わると、メール・アドレスが変わってしまうという問題はあるが、私は、ケータイ・メールはあまり使わない。というわけで、そんなつもりはなかったのだけれど、ケータイ会社を変えたくなってきた。
携帯電話の販売にあたって、ケータイ会社は販売店に奨励金を出している。あとでとりあげる報告書のデータによれば、端末の買い換えサイクルは2年 ほどで、1台あたりの販売奨励金は平均4万円弱。利用者一人あたりから得られる販売代理店収入の4分の1を占めるまでになっているという。
奨励金にもいろいろな種類がある。端末販売奨励金と、新規契約獲得などによって得られる通信サービス奨励金の2通りがあり、それぞれさらに複数の名目の奨励金に分かれている。
端末販売奨励金は、新規契約時ばかりでなく、機種変更時にも支払われる。通信サービス奨励金も、オプションサービスや一定数以上の新規契約の獲得、継続使
用にさいしても奨励金が出る。とはいえ、額はそれぞれ異なる。だから端末料金は、こういう人はこれこれの価格で、こういった人はこれこれの価格と、条件に
よって違ってくる。機種変更よりも、新規のさいの奨励金のほうが大きいから、私のように、「ケータイ会社を変えて、新規契約してしまったほうがトク」と感
じる人も出てくるわけだ。
販売奨励金は、ケータイ会社が払いっぱなしというわけではもちろんない。通信料金で回収している。われわれは安く端末を手に入れるかわりに、割高 の通信料金を払っているわけだ。そして、ケータイA社の端末を安く買った人が、短い期間でB社に乗り換えてしまった場合、その人の端末販売奨励金のコスト はA社のほかの利用者が負担していることになる。
携帯電話を爆発的に広めるには、たしかにこの仕組みは役に立った。しかし、携帯電話の人口普及率は約8割、世帯普及率で9割にまで達したいま、こうした制度をいつまでも続けるのはむずかしいようだ。
●期間付きの携帯電話契約
なにしろ、この料金体系は不透明だ。(通話料)「0円」を前面に出したソフトバンクの広告戦略をきっかけに、利用者に料金を錯覚させる恐れがある
ということで、大手ケータイ各社は警告を受けた。料金設定が複雑で、自分にとってほんとうにトクなのはどの会社の契約なのか、比較もしにくい。
イギリスでは、通信サービスの比較サイトを毎年アナリストが監査し、当局が認定する制度まで作られているそうだ。そうまでしないまでも、もう少しわかりやすくする必要があるだろう。
また、端末販売奨励金と通信サービス奨励金の2つがあると書いたが、この2つははっきり分けて適用されているわけでもないようだ。利用者には、どういう背景があって割引されているのかよくわからない。
さらに、日本の端末メーカーの世界市場におけるシェアは、全社あわせて9パーセントしかない。日本の10メーカーがこの少ないシェアで乱立してい る。ケータイ会社が端末を買い上げて販売するという日本独自の仕組みがこうした結果を生んだ。もはや仕組みを変えるべきだという声があがっている。
この6月に案が発表された「モバイルビジネス研究会報告書」は、「オープン型モバイルビジネス環境の実現に向けて」とサブタイトルを打ち、販売奨励金の見直しを打ち出している。
販売奨励金そのものは一般的な商慣行でただちに廃止するというわけではないが、端末価格と通信料金を分けた料金プランを導入すべきだと言い、端末コスト回
収のための期間付き契約を始めることを提案している。期間内に解約する場合は追加料金を取り、長期継続使用している人と、契約を早期に乗り換える人のあい
だの不公平感をなくそうというわけだ。来年度に部分導入し、10年度に本格的に開始することを求めていることになっているが、ケータイ会社はいち早くこう
した制度を取り入れ始めた。
●ケータイ会社を変えても端末やサービスがそのまま使える
そのほかこの報告書では、「IDポータビリティ」が提唱されている。ケータイ会社は、電話番号のほかに、端末ごとにID番号を割り当てている。 サービスを受けるにあたってはこの番号が使われる。番号ポータビリティ制度によって電話番号は移せても、ID番号の持ち越しはできていないので、ケータイ 会社を変えると、サービスがすべて使えなくなってしまう。ケータイ会社を変えても同じID番号を使えれば、利用者の利便性は大幅に増す。今年度にも検討を 開始し、10年をめどに解決すべきだと述べている。
ケータイをめぐるもうひとつの問題は、ケータイ会社を変えると、以前のケータイが使えなくなることだ。ケータイにはSIMカードというのが入って
いる。いまのケータイは、それぞれのケータイ会社の独自仕様が満載され、方式の違いもあるので実際のところ簡単にはいかないが、原理的には、そのカードの
内容を書き換えるだけで、ほかのケータイ会社に乗り換えられるようにはなっている。
とはいえ、通信料金で販売奨励金をまかなう仕組みだから、す
ぐにほかのケータイ会社に乗り換えられたのではケータイ会社はやっていけない。しかし、利用期間付きの契約になれば、販売奨励金によって恩恵を受けた人自
身がコストを負担する形になる。そうなれば、ロックを続ける意味はないはずだ。報告書は、SIMロックは解除するのが望ましいが、次世代の端末を普及させ
るために必要になる場合もあるため、10年の時点で結論を出すと言っている。
さて、この報告書を読んだ私の結論だが、やっぱりケータイ会社を変えて新しい端末を手に入れることにした。いまのように潤沢な販売奨励金が出続け
るとは限らない。すぐに仕組みが変わるということはないかもしれないが、多額の販売奨励金が出るうちに、端末を新しくしておこう、と思ったわけだ。
さて、あなたはどうしますか?
afterword
モバイルビジネス研究会報告書(案)は、全体として制度を変える必要は認めながらも、次世代の携帯のゆくえを気にして、多少様子見の気分も漂っているようだ。
関連サイト
『モバイルビジネス研究会報告書(案)』は7月31日まで意見募集をしている。
(週刊アスキー「仮想報道」Vol.493)
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