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2007.02.16

21世紀のメディアの主戦場は何だろう?‥‥と考えてみた

21世紀のメディアは、やっぱりこれしかない!?
異論・反論がたくさん出そうな予測ではあるけれど、
テレビのリモコンが大化けするのはありそうでは?

●21世紀メディアの主戦場

 あるシンポジウムで講演を頼まれた。与えられた演題は、「21世紀のメディア環境はこうなる」。
 さて、どうなるのだろう? しばらく考えて思いついた答えは、自分でも少々意外なものだった。
 21世紀の少なくとも前半、主戦場になるメディアはまずテレビではないか。
 え、テレビ? テレビは典型的な20世紀のメディアじゃないか。テレビ放送は前世紀半ばに本格的に始まって、圧倒的に強力な地位を占めた。
 しかし、今世紀のテレビは、前世紀のテレビと同じではない。主戦場になるのは「ネット端末としてのテレビ」である。

 今世紀、インターネットがすさまじいパワーを発揮することはまちがいない。ネットは世界中に瞬時に情報を運ぶ装置であり、映像・音声・テキスト と、ジャンルを超えた膨大なコンテンツを擁している。これまでのコミュニケーション装置では想像することも不可能だったスケールで、インターネットが21 世紀メディアの王者であることはまちがいない。
 インターネットは、コンテンツの流通システムでありデータベースではあるが、このメディアには、固定した出力装置がない。それがこのメディアの特徴だ。

 たとえば、本や雑誌は、紙という媒体と一体だ。少し前まで、テレビ放送はテレビ受像機に表示するのが当然だとみんな思っていたし、ラジオ放送はラジオで聞くのが当然だった。
  インターネットは、いまはパソコンでアクセスし、見たり聞いたりしている。しかし、パソコンでなければいけないかといえば、そうではない。ケータイだって ネット端末になるし、テレビだってかまわない。げんに各メーカーがブロードバンド接続できるテレビを発売し始めている。ほどなくテレビでネットのコンテン ツを見るのがあたりまえになってくるだろう。

 テレビの圧倒的なパワーの源泉は、第一に、設置されているその場所にある。家庭の居間のまんなかという特等席を占めている。
 第二に、その大きさと画像の質だ。薄型で高精細になればなるほど、大型化していく。近所の家電量販店に行ったら、イラスト入りの看板を掲げて、次のようにわかりやすく説明していた。
 以前のテレビは、テレビの大きさの5倍離れて見るように、と言われた。しかし、液晶やプラズマはちらつきが少ないので、そんなに離れて見る必要はない。3倍でいい。メーカーのサイトなどでもそう説明している。
 同じ部屋でも大きなテレビを置けるようになってきて、出力装置としてのテレビの威力は増している。場所と大きさ、およびそれにともなった画像の質というこの特徴は、ほかの装置には追随できない。

 もちろんテレビの位置に置かれるのがテレビ化したパソコンであってもいい。個人向けの発売も始まったマイクロソフトのOS「ビスタ」は、まさにパ ソコンをテレビ化する機能を備えている。つまりパソコンもいまやテレビをめざしている。そしてテレビのほうは、ネット端末としてのパソコンの役割も担おう としている。テレビ化したパソコンとパソコン化したテレビ、どちらもねらっているのは、ネットの映像コンテンツの表示装置としての地位である。

●電子番組表って、テレビに表示すべきものなの?

「21世紀メディアの主戦場はテレビ」という観点に立つと、そのほかのメディアがどうなるかも見えてくるのではないか。
 最近のテレビにつ いて、ちょっと妙だな、と思うのは、電子番組表(EPG)というやつである。デジタルビデオレコーダー(DVR)を持っていれば、かつてのように時間や チャンネルを設定したりGコードを打ちこまなくても、電子番組表をリモコン操作するだけで、簡単に録画予約できる。でも、電子番組表って、テレビの画面で 見るには、細かすぎないか? 新聞の番組欄をテレビに表示するようなものだから、タイトルや出演者や内容がごちゃごちゃ並んでいる。
 「テレビって、文字を読む装置だったっけ?」というのは、いささかイヤミな言い方だが、こうした難点にこそ、新たなメディアの可能性があるのではないか。

 

「そうは言っても番組表をどこに表示するんだよ。ほかに方法はないじゃないか」と思うかもしれない。しかし、棒状のリモコンでテレビ操作をするというのは、「多チャンネル+DVR時代」以前の発想である。
  新聞の番組欄を、何メートルも離れたところにあるテレビに表示して読みたい人はいないだろう。新聞のテレビ欄は、目から30、40センチぐらいのところで 見るのがふつうだ。さて、その位置にいまある「テレビ周辺機器」は何だろう? リモコンだ。つまり、電子番組表はリモコン上に表示すべきではないか。リモ コンをディスプレイ付きにし、電子番組表を表示してテレビを操作するのだ。

●リモコン・ディスプレイで始まる電子新聞の時代

 「テレビを操作できるディスプレイ」をリモコンと呼ぶのはもはやふさわしくないかもしれないが、とりあえず「リモコン・ディスプレイ」とでも呼ぶことにしよう。
 こうした装置には、けっこう大きな可能性があると思う。
  たとえば、テレビを見ながらノートパソコンを膝におき、ネットで関連情報を探す人は多い。また、ネット接続できるテレビが普及すればするほど、文字主体の ウェブ・ページをどうするかが問題になってくる。ネットのコンテンツのうち、動画はテレビ、文字主体のページはリモコン・ディスプレイで見るというのはど うだろう。
 さらに、テレビを見ながら新聞や雑誌を読むことも多い。リモコン・ディスプレイを一人一台持ち、電子新聞・電子雑誌・電子書籍をダウンロードして読む。紙メディアの本格的な電子化時代がいよいよ到来する。

 いまのパソコンは、読むための装置ではない。AV機能重視のパソコンの時代がやってきて、「読むための装置」としてのパソコンの側面はいよいよ顧みられなくなってきた。しかし、ネット上の文書が爆発的に増えているこの時代、長い文章も苦痛なく読める電子端末は不可欠だ。
  ソニーや松下電器が読書端末を発売しているが、携帯電話に比べてかなり高価であるのにネット接続ができない。これからの時代、ウェブを無視しては「読むた めの端末」は成り立たない。リモコン・ディスプレイにはネット接続とブラウザは必須だが、パソコンほどの高機能はいらない。タッチパネルとペン入力の能力 があれば、かさばるキーボードもなくてもいいかもしれない。作業をする端末ではなくて、おもに文字などを読むための装置なので、細かい文字をクリアに表示 する必要はあるが、テレビの付属品なので高価であってはこまる。
 端末の詳細はともかく、家の中で最大のディスプレイで、最高の位置にあるテレビを中心に、メディアが再編されていく。それが21世紀のメディアの向かう方向ではないか。

afterword
ユビキュタス・コンピューターの発案者マーク・ワイザーは、黒板サイズ、付箋サイズ、机の上に散らばらせる紙サイズの3種類のコンピューターを考えた。こうした3つが必要、というのはマトを突いている。

関連サイト
松下電器の「地上最大」103型フルハイビジョンプラズマテレビと同社が昨年末に発売した読書端末「ワーズギア」。上に書いた「来たるべき21世紀のメディア装置」は、大型テレビをこのような小さな端末でリモコン操作するといったイメージだ。

(週刊アスキー「仮想報道」Vol.471)

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