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2006.07.14

簡単そうで難しい新手のネット小売り

新しいネット・ビジネスを推進しているということで
注目されている企業のサイトを覗いてみたら、
意外な罠やカラクリがいろいろある‥‥

●信頼できる業者を見つけるのはけっこうむずかしい

 実家の食卓がいらなくなったので、中古家具の業者に見積もりを頼んだところ、タダ同然だった。
 「多少古びたけれど、ものは悪くないはずなのであまりに悔し い」と母親が言い出し、妻が頼まれて、オークションに出した。いくつも入札があって、首尾よく落札されたところまではめでたしだったが、輸送の途中で傷が 付いてしまった。保険で保障はされたが、オークションに出した妻は、発送時の食卓を直接見ていたわけでもなく、やりとりがけっこう面倒だったようだ。
 オー クションに出した人と発送した人が別だと肉親でも厄介だ。

 ところが、それをシステマティックにやろうというビジネスが現われた。
 それも、「アフィリエイトはもう古い。個人でも稼げるこれからのネットのビジネスモデルはこれだ」というノリで。
 ドロップシッピングというのがそれだ。

 前回書いたように、業者と契約し、自分のサイトで購入申し込みがあれば、注文を業者にまわすだけ。業者が顧客に直接発送してくれる。ドロップシッピング 業者が配布している写真やデータをサイトに張れば、販売サイトもたちまちできる。サイトを作るのが面倒だったら、オークションに出してもいい。

 在庫を抱え ないので、リスクが少なくネット小売りをやれる。
 もし届かなければ、オークション詐欺になってしまうが、きちんと届けば問題はない、という理屈だ。
 日本の オークションは、所有していないものを売りに出すことは認めていない場合が多いが、アメリカの大手オークション・サイトの「イーベイ」は一定の条件のもと に認めているばかりか、業者の認定までしている、というのは前回書いたとおりだ。

 米ワールドワイド・ブランドも、こうしたイーベイの認定業者のひとつだ。
 この会社は、自分のところでドロップシッピングをやっているのではなくて、調査して信頼できると判断した業者のリストを69・95ドル(約8000円)で売っている。

 こうしたリストがなぜ必要なのかは、そのサイトを見ると、しつこいぐらいに書かれている。
 ひと言でいえば、いい加減な業者がいっぱいいる、ということらしい。

 注文を受けたのに、発送しないなどという論外なものから、在庫管理がいい加減で、品切れや発送が遅れることもある。また、傷物や間違った商品を送ってあとは知らない、などということも起こる。

 誰しもすぐ思いつくそうしたトラブルばかりではない。 
 ドロップシッピング業者を名乗っていながら、べつの業者に注文をまわすだけのところもある。
 つま り、あなたがサイトで受けた注文を、契約したドロップシッピング業者Aに送ると、受け取ったAは、その注文をドロップシッピング業者Bにまわす。
 Bだって じつは商品を持っていないかもしれない。
 注文はさらにCからDに‥‥などと数珠繋ぎになっていることもあるのだそうだ。

 みなネット越しに注文をまわしているだけなので、その業者がほんとうに商品を持っているのかわからない。しかし、きちんと「伝言ゲーム」が行なわれれば、その商品を持っている業者から、ともかくも購入者に商品は送られる。

 笑い話のようだけど、ワールドワイド・ブランドは、そのサイトでこうした事例をしきりに説明しているから、実際にこうした業者がいるのだろう。

 いうまでもないが、途中に介在する業者はみなマージンをとる。
 つまり、割高な価格で、あなたは仕入れをしているのかもしれない‥‥。
 ワールドワイド・ブ ランドはこう説明したあと、親切にも「ほんとうのドロップシッピング業者の見分け方」を説明している。
 それはあっけないほど簡単だ。

 売りたい商品があれば、その商品に張られているラベルなどを調べ、そこに書かれているメーカーに電話し、こう尋ねればいい。

 「小売りをやっていて、御社の商品を販売したいのですが、卸し業者を紹介していただけますか」。

 メーカーは販売したいわけだから、喜んで教えてくれる。メーカー直属の卸し業者だから、価格も安い。

 ワールドワイド・ブランドはこのように、優良なドロップシッピング業者を見つけるための秘術を教えてくれる。
 いや、なんともご親切。
 でも、それじゃ、 8000円も出してリストを買う必要はないじゃないか‥‥と思うが、ワールドワイド・ブランドの説明は、それで終わりではない。

 その卸しに電話して契約を申し出たあなたは、自分の商売について詳しく説明することを求められる。
 卸し業者は、商品を渡して支払われないことを恐れるか ら、信用できる小売りかどうか確かめようとするわけだ。
 で、あなたが、「自分のサイトで売ろうと思うんです」などと説明すると、

 「?????」

 おそらく疑 問符がこれぐらいついて返事が返ってくるだろう。
 いや、それ以前に、1個から直送してくれる元売り業者を見つけることがむずかしい。

 こうしてあなたは、契 約してくれる業者を見つけるために、電話をかけまくらなければならないことになる。
 「それぐらいなら8000円を出してリストを買ったほうがいいので は?」というのが(ちょっとばかりわかりやすく脚色したものの)ワールドワイド・ブランドのセールストークだ。
 なるほど。さすがは、最先端のネットビジネスをやっている会社だけのことはある。
 秘密をちょっとだけ教えて、たくみにリストを売っている。

●「あなたの商品の売りやすさは1パーセント」

 この会社はこのほか、少量から売ってくれる卸しのリストやマーケット・リサーチのソフトも売っている。
 このソフトもなかなかおもしろい。
 5回まで無料で使えるというのでダウンロードして試してみた。

 自分の売ろうと思っている商品が、いまのネット事情で売りやすいかどうかを「売りやすさ何パーセント」といったぐあいではじきだしてくれる。
 先のリスト を購入していれば、ワールドワイド・ブランドが信頼できると判断した商品の仕入れ先も教えてくれる。
 検索結果画面の「需要」のページには、あなたの選んだ 検索語を含むいろいろな言葉でそれぞれ何回検索が行なわれたかも表示される。検索されている回数が多いほど需要が見こめる、というわけだ。
 また、「競争の 状況」というページでは、ヤフーやイーベイ、グーグルでその検索語の示す商品がいくつ載っているか、イーベイではいくつの店舗が売っているかも教えてくれ る。
 「広告」のページでは、そのキーワードでグーグルやオーバチュアで広告を出しているのはどこかが表示される。オークションでいくらの値がついているか もわかる。

 ネットの検索をあれこれ横断検索できるようにしただけ、ともいえるが、数々のデータとともに、「売るのがむずかしい」から「売れる可能性が最高度に高い」までのあいだで「売りやすさ何パーセント」などと表示されると、なんだか説得力が出てくる。

 とはいえ、売りやすい商品を探すのは大変だ。試しに、「本」とか「コンピューター」などで検索してみたら、当然のようにネット上のライバルがたくさん検索されて、「売りやすさ」はわずか1パーセント。「その商品はあきらめなさい」ということらしい。
 このソフトには、「靴」と「ナイキ」の検索結果がサンプルとして入っていたけれど、それも1パーセントである。
 いったい何が売れるんだろう?

 ネット小売りの経験のない私には、無料で検索できる5回以内で、売りやすい商品を見つけることはできなかった。
 まあ、私にはとても無理だとわかったのだけが「成果」だったわけだが、ネット小売りをやろうという人は、まずはこのソフトでチャレンジしてみるといいかもしれない。

     *

 2か月ほどまえに「ドロップシッピング」で検索して見つかる業者の数はそれほどなかった。しかし、いま検索してみると、相当増えている。いろいろな業者があると思うので、利用しようという人は、くれぐれもご注意を。

関連サイト
ワールドワイド・ブランド

(週刊アスキー「仮想報道」Vol.442)

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