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2005.11.17

気分はもうすっかり宇宙――惑星間インターネット

【6年前[1999年]に惑星間インターネットにについて書いた原稿を11月18日の記事の参考までに載せておく】

インターネットはその誕生から30年たったとはいえ、
まだ揺籃期を脱していないが、インターネットを宇宙空間にまで
張りめぐらせようという計画が、早くもはじまっている。

「われわれは地球をインターネットで結んだ。いまや彼方の星々のことを考えるときが来た。地球から火星、小惑星、そして星々のあいだの空間を結んでいくのだ!」

 これは、「インターネットの父」ヴィンセント・サーフが、ホームページに載せている「インターネット、21世紀のとば口で」と題した詩の一節だが、宇宙空間を結ぶ「惑星間インターネット」のプロジェクトがNASAジェット推進研究所で進められている。

 インターネットは、「ネットワークのネットワーク」と言われてきたが、「惑星間インターネット」は、「インターネットのインターネット」というべきもので、地球や火星などにインターネット網を敷き、それらをネットワークして、これからの宇宙計画を支援するシステムを作ろうという計画だ。
 70年代前半にインターネット・プロトコルを考案したサーフが97年末に「惑星間インターネット」のアイデアを口にしたところ、ジェット推進研究所のエンジニアが興味を示し、共同作業がはじまった。

 「惑星間インターネット」では、惑星ごとに「ゲートウェイ」を設けて、そこに情報を渡す。星の位置は時々刻々変化しているから、送り先のゲートウェイを見いだす方法は伸縮自在でなければならない。
 イリジウムのような国際衛星電話などでも使っているシステムを利用し、アドレスを更新せずとも、確実に情報を届ける仕組みを作る必要がある。
 そして、情報が届いたら、いつ着いたかも知らせてくれるネットワークの構築を目指している。

 火星と地球は、もっとも近いときでも5500万キロ、光の速度でも3分の遅延が生まれる。現在のインターネットのプロトコルをそのままでは使えない。
 また、宇宙空間のなかを無線で飛ばせばノイズも大きい。
 さらに惑星の背後には直接情報を送れないなど、宇宙空間ならではの問題をクリアしなければならない。

 これまでの宇宙計画でも、標準化されたプロトコルはあったものの、どの宇宙飛行でも使えるというわけではなかった。しかし、汎用的な通信インフラができれば、長期的には宇宙計画の通信関係のコストが減り、科学研究などに資金を集中できる。
 ギガビットクラスのデータ転送も可能になったさいには、宇宙旅行時代の通信インフラとなるばかりでなく、バーチャル・リアリティの技術を使って、地球にいながらにしてほかの惑星にいる気分も味わえるようになるという。

 また、情報のやりとりが容易になるので、現在よりはるかに多いデータを受け取れる。97年のマーズ・パスファインダーが地球へ送ってきたデータ量は、一日で30メガビット、300bpsほどでしかなかった。
 われわれが現在使っているモデムの伝送スピードは、遅いと文句を言いつつも、28・8Kbpsとか56Kbpsはあるのだから、いかに少ないデータ量かがわかる。
 さしあたりはマーズ・パスファインダーの30倍以上、11Kbpsほどにしようとしている。
 このあいだの火星ロケットの「遭難」で、予定はすっかりくるいそうだが、少なくともその前までは、2003年の打ち上げから、26ヶ月ごとにおこなわれる火星探査のたびに準備を進めていって、2008年には、火星の軌道上に7つの人工衛星をあげ、地球と火星のあいだの基幹的なネットワークを構築し、2020年から40年ころには、ほかの惑星にまで広げた「惑星間インターネット」に発展させる予定だった。

 こうした技術は、結局は、地球上のインターネットの発展にも役立つはずだとサーフは言う。宇宙というあらたな舞台を設定することで、現在のインターネット技術のたんなる延長ではない革新的な技術開発をおこなおうという心づもりもあるようだ。
「惑星間インターネット」について触れたドキュメントには、earth.solとかmoon.sol、mars.solといった「スーパードメイン名」が書かれていたりして、「気分はもうすっかり宇宙」だ。

関連サイト
NASAジェット推進研究所のページ(http://ipn.jpl.nasa.gov/)。このページにも、「地球の彼方のことを考えるときが来た。太陽系、さらにはその彼方‥‥」というサーフの言葉が掲げられている。
 インターネットが現在のようになるまでに30年かかったことを思えば、惑星間インターネットをいまはじめても早すぎることはないと、サーフは主張している。

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