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2005.11.17

インターネットの生みの親が、その30年の歴史を顧みて思うこと

【6年前[1999年]にヴィントン・サーフについて書いた原稿を11月18日の記事の参考までに載せておく】

今年は「インターネット生誕30年」にあたるそうだが、
驚くべき発展をしたこのメディアについて、
「インターネットの父」は何を
考えているだろうか。

 インターネットの始まりは、カリフォルニア大学ロサンジェルス校のコンピュータがルータに接続した69年9月2日だという説や、スタンフォード大学に電子メッセージを送った10月20日だという意見など諸説あるようだが、いずれにしても今年がインターネット生誕30周年にあたるとのことで、祝典などもおこなわれた。

 そうしたニュースを聞くにつけ、これほどインターネットが急速に発展し社会に大きな影響をあたえる存在になったのを見て、インターネットを作り出した人々はどんなことを考えているのだろう、と思ったりもする。
 この秋、長いヒゲをはやしインターネットの神話を生きているような「インターネットの父」ヴィントン・サーフの風貌に接したこともあり、そのサイトにアクセスしてみた。

 82年にアカデミズムを離れて電話会社のMCIに入ったサーフは、現在、副社長の地位にあり、ホームページも同社のサイトにある。インターネット30周年を期にというわけでもなかろうが、つい最近ホームページを新しくしている。
「先行するネットワーク技術の上にインターネットができたので、ひとりの人間を特別にあつかうのは適当でない」という理由で、本人は、「インターネットの父」と呼ばれることは本意ではないようだ。彼の功績は、73年から74年にかけて、異なるネットワークをつなぐ仕組みについて論文を書き、インターネットの前身のARPANETの構築に貢献したことにある。しかし、そのネットでは、送れる容量が小さく、圧縮して送ったところ、「酔っぱらったノルウェー人」のような声になってしまったと、サーフは、ユーモラスに語っている。

 また、別なエッセイでは、電子メールのアイデアは、その根っこを探すと、ひとつのコンピュータでファイルを共有している人たちがほかの人間にメッセージを残す仕組みにあり、いまのように、異なるコンピュータ間でメッセージをやりとりする仕組みに発展したのには驚く、と言っている。
 インターネットの生みの親にとっても、インターネットの歴史は思いがけないことの連続だったようだ。「当時、コンピュータは大きくて高価だったこともあり、インターネットのインパクトがこれほどのものになるとは誰も想像しなかった」とも言っている。

 ホームページでは、「21世紀のインターネットはどうなる?」といった問いに対するサーフの答えも載っている。
 「つぎの百年にインターネットが人々の生活をどう変えるかを予想するのはむずかしいけれど、情報へのアクセスが容易になり、正式の‘出版物' だけでなくインフォーマルなものもサポートされ、インターネットにアクセスしている人々みんなの知識をあてにすることができるようになるのだろう。それは、以前はありえなかったことだ。また、友人や家族・同僚との仲立ちをするソフトウェアがどんどん賢くなり、そのおかけで、まえよりももっと他の人と触れあうことができるようになると思う」と言っている。
 驚くような答えではないが、「インターネットの父」に言われてみると、それなりの厚みも感じられる。

 もっとも、「不完全な未来」と題されたエッセイでは、サーフ自身が、「インターネット電球の光線のもとで、曾曾孫【ルビ:ひひまご】がこの文章を読んで、曾曾祖父【ルビ:ひひじいさん】の未来像の狭量さや未来にたいする驚くほどの自信のなさを笑うかもしれない。できるものなら、未来から宅急便でメッセージを送ってもらいたいぐらいだ。このじれったいような思いは、千里眼の持ち主だけが感じずにすむのだろう」と言っている。

 「インターネットの父」とはいえ、いまの大革命がどのように進んでいくのかを思い浮かべるのはむずかしいというわけだ。
 とはいえ、そう言って手をこまねいているのかといえば、そんなことはない。
 サーフは、インターネットを宇宙空間にまで発展させようと、「惑星間インターネット」のプロジェクトを推進しつつある。次回はその話を取り上げよう。

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