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2005.02.05

数千通の迷惑メールが来て‥‥

現実のテロルとサイバー攻撃があいまって
世の中はきな臭くなる一方だ。悪意の総量も増え続け
個人が自衛するしかないのだろうか。

●メール爆弾

「2ちゃんねるの時代は終わった」という原稿を年末の号で書いたら、迷惑メールが殺到し始めた。受信拒否などの対策をすぐとったので実際のところどれぐらいメールが来たのかわからないが、たぶん何もしなければ一日数千通はあったのではないか。

 いやがらせをしたい相手のメールアドレスを登録すれば簡単に大量の広告メールが送れる仕組みのウェブ・ページがどうやらあるらしい。そのウェブ・ページのウィンドウにメール・アドレスを放りこむだけで、あちこちの広告メールの一括登録サービスにまとめて登録され大量の広告メールが送信されるようだ。
 先の原稿で「2ちゃんねるの圧力団体化」という小見出しをつけたら、「2ちゃんねるは組織になっているわけでもないし、2ちゃんねるが何だかわかっていない」という反応があった。2ちゃんねるが組織でないことぐらいはいくらなんでも知っているけど、気にくわない意見を実力行使でつぶそうというのはまさに最悪の圧力行為だ。やったのは1人だろうけど、メール受信を粉砕してしまおうというわけで、一種のテロリズムである。
 こうしたメール・テロは、国境を越えて大流行で、たとえば靖国神社も、正月早々サイバー攻撃を受けていると次のようなメッセージをホームページに出している。
「平成16年9月21日靖国神社のアドレスを詐称した中国語のスパムメールが不特定多数に大量に発信され、受信サーバーからのエラーメッセージが殺到して、詐称された当神社のメールアドレスが使用不能」になり、「エラーメッセージの中にはひとつのメールサーバーに千通以上の同一のメールが着信したというものや、メールボックスが一杯になってこれ以上受信できないというものが数多くあ」った。どれぐらい偽装メールが発信されたか想像もできないという。「当神社にとって耐え難いのは、 攻撃者が第三者を巻き込んでの迷惑行為を行なったことです」と言っているが、靖国神社を詐称するメールを大量に送りつけられ受信者にも実害があったわけだ。
 メール・アドレスを勝手に使われても防ぎようはない。しかし、送信者になりすますことが簡単にできると知らずにメールを受信した人は、とんでもないことをするやつだと送信者とされている人間のことを恨むだろう。メール・アドレスを詐称されるのは名前を勝手に使われるのと同じである。
 靖国神社をめぐっては、「小泉首相の靖国神社参拝は自粛してほしい」と言った経済人の自宅に火炎瓶が置かれたり銃弾が送られたり右翼が押しかけたりと不穏なムードが漂っている。小泉首相の参拝を続けさせたいグループが圧力をかける一方で、靖国神社に反発しているグループもサイバーテロをやっている。同神社は12月に、中国国内のインターネットの掲示板システムに靖国神社に対する攻撃を呼びかける書き込みがあったと言い、それを見て発表に踏み切ったのだろう。
 火炎瓶や銃弾など身体の危険をただちに感じさせる行為とサイバー攻撃は同列ではありえない。けれども、インターネットのメール・システムを危機に陥れる。靖国神社にいつも味方するわけではないけれど、「この攻撃がインターネット技術そしてインターネット社会の秩序を根本から否定するテロリズム」だと言うのは、少なくともその通りだ。

●後手にまわる迷惑メール対策

 パソコン利用者の迷惑メール被害は確実に増えている。日本データ通信協会が昨年夏にやったアンケート調査では、1日10件以上迷惑メールを受信する人は前年度から3パーセント増えて24パーセントだったという。4人に1人はかなりの数の迷惑メールを受けとっているわけだ。しかも最初に書いたように大量の広告メールが送られる「便利」で「簡単」な仕組みもあるぐらいだから、放っておけば被害はどんどん拡大していくだろう。
 この調査では、迷惑メールが来る理由についてまったく覚えがない人が41パーセント。必要なメールが読みにくくなっている人は20パーセント。そして、迷惑メール防止サービスを利用しても58パーセントの人が顕著な減少効果はなかったと答えている。2分の1以下に減った人は20パーセントに過ぎない。
 実際、私も大手プロバイダーの受信拒否や迷惑メールの自動分類などを使ってみたが、それだけでは問題は解決しなかった。
 こうした迷惑メールを取り締まる動きももちろんある。2002年には「迷惑メール防止法」と通称される法律が作られている。広告メールの送信者の連絡先をはっきりさせ、送信拒否の通知をした人には送ってはならないとか、「未承諾広告※」と表示することなどが決められた。しかし、悪質な業者に送信拒否の通知をしようものなら有効なメールアドレスであることを教えてしまい、かえって迷惑メールが来かねない。送信をやめたふりをして、ほかの業者名で送ってくる可能性もある。また、この法律は未承諾広告の受信者が対象で、私の場合のように誰かが勝手に登録した場合には適用されないだろう。勝手に登録した人間は(もし捕まれば)威力業務妨害罪などに問われる可能性があるが、広告を送ってくる業者は「だまされて広告メールを送らされた被害者」ということにさえなりかねない(まともに読まれそうにない広告メールを大量に送るというのはとても真っ当なビジネスとは思えないが)。
 少なくともパソコン利用者には法律が効果のなかったことは先の調査結果などからもうかがえる。お役所もこのままでいいとは思っていないようだ。まず総務省が「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会」を開催し、昨年12月に中間とりまとめ案を発表した。3年前の法律は、迷惑メールの送信者に制約を加えようとするものだった。こんどの研究会のメンバーは通信事業者が多いこともあってか、アドレスの収集とメール送信の段階で抑えようとしている。正当な理由がある場合は通信業者が業務を拒否することも検討するという。大量のメールを送らされ、さらに未達でまた大量に戻ってくる面倒をみなければならない通信事業者はたまったものではないから何とかしようというわけだろうが、このとりまとめ案では、「正当性のあると考えられる具体的な事例の整理を進める必要がある」などと書かれていてどうも煮え切らない。広告メールの発信もひとつの(正当な)ビジネスでありうるわけで線引きがむずかしいということなのだろう。ほんとうに実効性のある案になるのかどうかと思っていたら、1月21日には経済産業省が「おとり捜査」をすることを発表した。経産省と総務省はパソコンを設置して迷惑メールを収集し、違法なメール送信は利用停止にし、悪質な場合は警察に連絡して処罰するという。
 だんだん強い態度になってきたわけだが、利用停止にしても別のアドレスから送信するだけだろう。それに、勝手にメールアドレスを使ってメール配信を申し込んだ形になっている場合はやはり対象外だ。この場合は、広告を送ってくる業者と一括登録をしている業者は別なので、送ってきたところに文句を言ってもどうにもならない。一括登録している会社も、サイトで申し込まれたから登録したまでだと言うだろう。それぞれがそれぞれの仕事を正当と称してやっているだけで、「真犯人」は別にいるということになる。

●超強力な無料メールソフトの出現
 というわけで、当面自衛するしかない。めいめい自衛してしまうと問題のありかがうやむやになって解決策がとられないと主張している人たちもいる。それはそれでもっともなのだけど、抜本的な対策がとられる(ことがあるにしても)それそれまではどうにかしなければならない。じつは少し前から使いはじめた無料のメールソフトの迷惑メール対策が強力で、数千通の迷惑メールが来てもさして困らずに同じメールアドレスを使い続けている。次回はそのソフトを紹介しよう。

関連サイト
●サイバー攻撃をうけたと発表した靖国神社のサイトのリリース・ページ。靖国神社を詐称したメールが大量に送られ、また靖国神社にもメールが殺到してメールアドレスが使えなくなったばかりか、「スパムメールを受信した多くのコンピューターがコンピューターウイルスに感染しており、それらからウイルス付のメールが大量に靖国神社のメールサーバーに着信するという二次被害」もあったという。
総務省の迷惑メール関係施策のページ。迷惑メール防止法や「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会」の中間とりまとめ案などが載っている。
迷惑メールについて「おとり捜査」を始めるという経済産業省の発表。「迷惑メール追放支援プロジェクト」と名づけられ、「おとり」のパソコンを設置して2月上旬より始めるという。

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コメント

 2ちゃんねる批判を展開したサイトや言論人は、多かれ少なかれ、このようなヒステリックな反応に遭うようですが、それに説得を試みたり論破しようとしても火に油を注ぐだけなのが実情のようです。
 大変だとは思いますが、もう2ちゃんねるに触れるのはやめて(無視して)はいかがでしょうか。新しい火種(所謂「燃料」)の供給が途絶えれば、正常に近い人間ほど、さっさと飽きてしまうと思うのですが……。
 いつも楽しみに読ませて頂いております。通常営業に戻る日を願って止みません。

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