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2004.02.15

大統領候補は出会い系サイトが好き

「集団出会い系サイト」がこのところホットに
なっている。アメリカの大統領選挙でも、各陣営とも
こうしたサイトを積極的に利用している。

●大統領候補たちが好む「出会い系サイト」

 アメリカの大統領選挙の民主党候補はいよいよ絞られてきたが、今回の選挙運動では各陣営のサイトにウェブログができ、「ウェブログ選挙」になっているという話を前回書いた。ウェブログとともに各陣営が使っているのは一種の出会い系サイトのサービスだ。ネットでの選挙運動を早くから重視してきたディーン前バーモント州知事はもちろん、目下トップを走っているジョン・ケリー上院議員、若手のエドワーズ上院議員など各有力候補が軒並み利用し、トップページの目立つところにリンクをおいている。
 サイトの名前は『ミートアップ』。そのものズバリ「出会う」という意味だ。ただし、この「出会い系サイト」は、日本で流行っているように、男と女が出会うためのサイトではない。趣味や主張を同じくする人々が出会うためのサイトだ。
 サイトにはさまざまなトピックスが並び、それぞれのページにアクセスすると、「毎月これこれの日に何々の集まりをします」などと書かれている。関心のあるトピックスの集会を選び、メールアドレスや自分がいる街を登録すれば、次回の集会をメールで教えてくれる。具体的にどこで会うかは、3週間前に3つのオプションが示され、1週間前までの参加者の投票で希望の多かった場所に決まる。登録者に参加の確認が行なわれ、5人を超えると集まりが持たれ、達しないとキャンセルになる。
 もちろん大統領選挙の集会だけをやっているわけではなくて、ハリー・ポッター、SF、アニメ、ゲーム、チワワなどのペットまで、一般からの提案をまじえて4000近いトピックスが設定され、アナウンスされている。現在100万人がこのサイトに登録し、世界51カ国612都市で集会が開かれているという。02年の6月にサイトを立ち上げたというから1年半でここまでになったわけで、かなりのスピードで発展したことになる。同じ趣味の人が自分の住んでいる街にいないかな、なんて感じで、このサイトで情報を探しミーティングに参加する人が世界中にいるわけだ。

●選挙結果が予測できるサイト

 多様なトピックスの集会が企画されているものの、大統領選挙が熱っぽくなっていることもあって、目下、25パーセントほどが政治関係の集会なのだそうだ。サイトの運営者たちは「たかだか25パーセント」というけれど、日本で同様のサイトを作ったら、政治関係の集会がこんなに高率になることはとても考えられない。「アメリカ人が政治好き」というよりも、アメリカの大統領選挙はやはり一種の「お祭り騒ぎ」なのだろう。
 各陣営は、『ミートアップ』へのリンクをトップページの目立つところにおいて重視しているものの、それぞれの集会への登録者はそれほど多いわけではない。ディーンの集会への登録がもっとも多いが、それでも188600人。次が、リタイアを表明したクラーク元NATO欧州連合軍最高司令官で6万6700人。3位が、民主党候補レースで圧勝しているケリー上院議員で、47600人だ。この人数は集会の参加者数ではなくて、サイトでの登録者数だ。選挙に勝つために獲得しなければならない票数に比べれば微々たるものだが、彼らはこうしたサイトがなければ埋もれていた草の根の支持者だ。自発的に集まり、これをきっかけに各地の選挙運動を支える積極的なサポーターになってくれる可能性もある。ということで、各陣営はこのサイトを重視しているようだ。
 集会の登録者数ではケリーは3位だが、最初のアイオワ州で勝利したあとは、一日千人の割合で増えたという。ジョージ・ワシントン大学にはインターネットと政治についての研究所があるそうで参加者の動向を調べていて、『ミートアップ』を観察すると選挙の予測ができると言っている。

●“集団出会い系サイト”の利用の仕方

 東京での集会情報もいくつも登録されている。東京で登録している人は1900人ほどいるようで、ディーンの集会も、全世界同様毎月第1水曜日に開かれている。物見高い人は、「私、アメリカ国民じゃないし、ディーンのことよく知らないけど、おもしろそうだから来てみました」なんて感じで参加してみてはどうだろう。ディーンはリベラル派だから案外歓迎されるかもしれない。
『ミートアップ』は英語がベースだけれど、「日本語」がテーマの集会もある。「日本語を学び、使い、教えることを希望する人との出会い」が目的の集まりだ。「英語が苦手だけど外国人と友だちになりたいな」なんて人にはいいかもしれない。「日本語集会」はけっこう人気があるようで、言語のセクションでは、スペイン語、フランス語に次いで登録者が多い。東京では、外神田のリナックス・カフェなどで集会が持たれている。
 一つのトピックスは、全世界で毎月同じ日に開かれるが、いくつかのトピックスに登録して、世界中で同好の人間と出会いながら転々と旅行して回る、などというのもおもしろいかもしれない。ほんとにそんなことをしている人はいるようで、最初に登録した街を、今月は「ここ」といった感じで変更できるようになっている。それぞれのトピックスのページには、これまでの集会の写真が載り、概要が報告され、楽しげな雰囲気が感じられる。
 こうした集会に危険がまったくないかと言えば、もちろんそんなことはないだろう。政治や宗教の集まりに参加するときにはそれ相応の「覚悟」はしていくだろうが、そうでない集会についてもヨコシマな考えで参加する人がいないとはかぎらない。しかし、「出会い系サイト」のように2人で会うわけではないから、その分「危険な感じ」がしないのも確かだ。集会のあとには「感想を教えてくれ」とメールが送られるようだから、ヘンな集会をいつまでも続けるのはむずかしいだろう。
 ‥‥などと細かく見ていくと、やはりよくできている。同じ趣味を持った見ず知らずの人を自分で集めようとしたときの手間ヒマを考えてみれば、こうしたサイトのありがたみがよくわかる。自分のサイトで「何月何日に集会をやります」といってもそのアナウンス効果はしれている。『ミートアップ』のようなサイトにそこそこのアクセスがあるという評判が高まればますます多くの人が集まるようになり、トピックスも増えていく。

●2ちゃんねるも「集団出会い系サイト」?

 こうした集会はじつは日本でも『2ちゃんねる』などの掲示板を使って開かれている。「マトリクス」のファンが、『2ちゃんねる』で示し合わせて、映画の登場人物の格好をして渋谷や秋葉原などに集まり、走り回ったりもしたらしい。去年、本誌編集部の人に教えてもらって、その写真が載っているページにアクセスしてみたが、でぶっちょの人まで含めて、登場人物の「スミス」と同じ黒のサングラスに黒のスーツで勢揃いしていて、不気味やらおかしいやら、だった。
 この「マトリクス集会」はけっこう流行って何回もやられているらしいが、『2ちゃんねる』はそもそも集会のためのサイトではないし、なかなかこうはいかないだろう。
「集団出会い系サイト」はじつはソーシャル・ネットワーキング・サイトというもっともらしい名前が付いて、ネット業界などで熱い視線が注がれ始めている。日本でもこうしたサイトは生まれており、しだいに身近なものになってきている。いまもっともホットな「集団出会い系サイト」の世界を次回ももう少しのぞいてみよう(「ソーシャルネットワーキング」のカテゴリ参照)。

関連サイト
●”集団出会い系サイト”『ミートアップ』。このサイトはどうやって収入を得ているんだ、というのは誰しも抱く疑問だ。広告以外にも、大統領候補の陣営などから1000ドルから5000ドルぐらいの資金をもらって集会のお知らせメールに候補者のアピールを載せたり、会場となる飲食店からの協賛金を得たり、登録者に有料のプレミア・サービスを提供するといったことをしている。日本で『ミートアップ』の集会が開かれているのは東京だけだ。インターネット人口や英語を話す人がどれぐらいいるかで地域が選ばれているという。
●各候補者のサイトの目立つところに『ミートアップ』へのリンクがおかれている。これはディーン前バーモント州知事のサイト。写真の右下にリンク・バナーがある。
●『2ちゃんねる』で示し合わせて開かれる映画「マトリクス」のオフ会サイトのひとつ『マトリクス・レボリューションズ・イン・トウキョウ』。大晦日にも東京や関西などでオフ会があったらしい。
「マトリクス」オフ会『2ちゃんねる』」

(週刊アスキー「仮想報道 vol.326」)

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